2021 Fiscal Year Research-status Report
EUと東アジアにおけるウナギ属魚類資源管理の比較研究
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19KK0292
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
海部 健三 中央大学, 法学部, 教授 (30615258)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | ウナギ / ヨーロッパウナギ / ニホンウナギ / 資源管理 / EBM |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は文献調査を中心に進めているが、補完的に専門家ワークショップや国際会議への参加、アンケート、インタビューを行った。英国に渡航後、ICES(国際海洋探査協議会)のヨーロッパウナギの専門家部会であるWGEELとWKFEA、およびCITES(ワシントン条約)動物委員会に参加した。ヨーロッパ、北アフリカ、東アジアの15カ国にウナギ管理に関するアンケートを行い、7カ国から回答を得た。並行して、ヨーロッパのウナギ専門家とウナギ管理に関わる行政官に、対面およびオンラインでインタビューを行った。ただし、特に断りがない限り、研究結果は公開されている文献に基づいている。 ウナギの管理については、国際的に認められている成功例が存在しない。このため、近年水産資源管理の視点からも注目されているEcosystem-Based Management(EBM)の基本原則を基準とし、ヨーロッパウナギの管理とニホンウナギの管理について、評価を進めている。なお、本課題の一環として、岡山県で得られたデータを基に解析を行い、ウナギの管理にEBMが有効である可能性について、海洋政策の専門誌Marine Policyに報告している。 ヨーロッパウナギの管理については、EUのCouncil Regulation (EC) No 1100/2007、通称「Eel Reguration」に基づく管理体制を主要な評価対象とした。ニホンウナギについては、「ウナギの国際的資源保護・管理に係る非公式協議」、通称「非公式協議」を主要な評価対象とした。先行研究がまとめたEBMの基本原則について、基本原則がウナギの管理に適用可能であることを確認した。その上で、それら一つ一つの基本原則について、ヨーロッパウナギの管理体制、ニホンウナギの管理体制を評価した。評価結果は現在、投稿論文としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の英国滞在中に必要な情報の収集を終え、現在は調査結果をまとめる投稿論文の執筆に取り掛かっている。このため、本研究課題は順調に進んでいると言える。その一方で、新型コロナウィルスの感染拡大によって、予定していた現地訪問をほとんど行うことができなかった。しかしながら、会議やインタビューはほとんどオンラインで行うことが可能であったため、基本的な情報の収集には大きな障害はなかった。ヨーロッパと日本は時差が大きいために、オンラインで対話ができるとはいえ、英国に滞在していなければ本研究課題を適切に進展させることは難しかった。 評価の基準としてEBMを採用したが、EBMの考え方がウナギ管理において重要となる可能性を示すことを、過去に入手したデータの再解析によって示し、論文として発表できたことは、本研究課題を進めるにあたって大きな進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題を達成するために必要な情報はほとんどそろえることができたため、学術論文としてとりまとめて公表すること、および、得られた結果を今後の政策提言として実社会に還元していくことを進める。 研究計画を変更する予定はない。
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Research Products
(1 results)