2022 Fiscal Year Research-status Report
海洋生物の回遊経路復元に向けた窒素同位体モデルによる全球海洋窒素同位体マッピング
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19KK0293
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉川 知里 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (40435839)
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Project Period (FY) |
2020 – 2023
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Keywords | 窒素同位体比 / 海洋窒素循環 / 海洋窒素同位体モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで「海洋生物の窒素同位体比履歴」と「窒素同位体比の空間分布」から、さまざまな海洋生物の回遊経路が復元されている。この「窒素同位体比の空間分布」は、海洋観測で得られた試料の窒素同位体比から作成されていた。近年「海洋生物の窒素同位体比履歴」の復元精度が向上する一方、まばらな「窒素同位体比の空間分布」が、経路復元の妨げとなっている。そこで本課題では、海洋生物の回遊経路復元に向けた、高分解能な「窒素同位体比の空間分布」を作成する目的で、窒素同位体モデルによる全球海洋窒素同位体マッピングを行う。共同研究は、海洋窒素同位体研究の第一人者であるSigman研究室と行う。地理的な要因により、申請者らは西部太平洋とインド洋、Sigman研究室は東部太平洋と大西洋の観測値を多く所有している。本課題では、共同研究を通して、研究室間の分析 法の較正と観測データベースの統合を行い、全球海洋窒素同位体モデルの構築・評価を行う。 本年度は、全球海洋窒素同位体モデルを用いて作成した窒素同位体比地図の、西部北太平洋海域の季節変化について解析を行い、論文の執筆を開始した。本研究で作成した窒素同位体比地図は、西部北太平洋海域の定点で観測した窒素同位体比の季節変化を、非常に良く再現していた。また本年度は、本課題で作成した窒素同位体比地図を、サバやアジ、サンマの眼球の窒素同位体比分析結果の解析へ応用し、各個体の回遊経路の推定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、Sigman研究室へ渡航して共同で論文を執筆する予定であったが、本年度中の渡航はかなわなかった。オンラインミーティングを重ねて、論文の執筆は開始したが、まだ投稿には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、Sigman研究室への渡航を計画し、窒素同位体比地図に関する論文の投稿を目指す。
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Research Products
(2 results)