2022 Fiscal Year Research-status Report
A study of textiles collected by the German expeditions and newly excavated textiles in the Xinjiang region
Project/Area Number |
19KK0294
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 智見 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 特任助教 (70722362)
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Project Period (FY) |
2020 – 2023
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Keywords | 考古学 / 染織品 / シルクロード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、若手研究「中央ユーラシア出土品からみた古代の染織品流通と技術伝播に関する研究」をさらに発展させるため、新疆ウイグル自治区出土品(特に染織品と壁画などの図像資料)に関連する資料収集および調査を集中的に実施するものである。 2020年6月からドイツおよび中国に渡航予定であったが、新型コロナウイルス情勢が重なってしまったため、渡航延期を余儀なくされた。国内において待機していたが見通しが立たないことから、少しでも研究を進めるべく、2020年度から日本国内において集中的に資料収集と調査を実施し、渡航後すぐに調査に取り掛かれるよう準備を進めている。2021年度も、国内において新疆出土品関係論文などの情報を収集すると共に、すでに手元にある資料を活用して調査・研究を進めた。具体的には、トルファンのアスターナ古墓出土染織資料のフィルム画像、新疆タリム盆地で製作された可能性のあるモンゴル出土の7世紀染織資料の分析、壁画など図像資料の染織表現の収集、中国史書にみられる染織関係の記述収集などである。 2022年度は短期間ドイツへ渡航することができ、現地研究者と手中的に研究を進めることができた。中国については、現地において厳しい受け入れ制限が行われていたことから、2022年度の渡航も叶わなかった。国内における資料収集と分析を鋭意実施している。2022年度はSRC生存戦略研究プロジェクトとの共催で、本研究での成果を盛り込んだセミナー1件を開催することができた。 2023年度も渡航が難しい場合は、前年度に引き続き、新疆地域出土品および関連文献等の収集、新疆出土品と密接な関係にあるモンゴル出土品などの調査、新疆地域から出土した染織関係資料の出土例の把握、壁画などの図像資料の収集・分析、さらにこれに関連した研究の現状をまとめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年6月から渡航予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、3年間にわたって渡航が延期となっていることから、(3)やや遅れているとした。状況は昨年度の(4)やや遅れているからやや改善しており、2022年度は短期間だがドイツへ渡航し集中的に調査を行うことができた。現地へ渡航できた場合に効率的な調査が可能となるよう、現地共同研究者との打ち合わせや情報交換も定期的に行っていたことから、短期間ではあるが共同研究を進めることができた。 本研究では中国への渡航も予定しているが、新型コロナウイルスの影響で渡航先機関からの外国人受け入れ許可が下りず、中国での現地調査に関しては進めることができていない。しかし、日本国内において資料収集を進めており、図像資料を用いた出土染織品の分析も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度も中国への渡航が難しい場合には、国内においてできる限りの調査を実施し、遅れを取り戻す。所属先(北海道大学)や、新疆地域出土品の情報が集まる各研究機関において資料収集を集中的に実施するとともに、手元にある資料の整理および検証を進める予定である。 具体的には、前年度に引き続き、新疆地域から出土した染織関係資料の出土例の把握と、壁画などの図像資料の収集・分析、中国史書などの文字記録をまとめ、さらにこれに関連した研究の現状をまとめる。特に各地に存在する新疆製とみられる染織品類の調査や、壁画資料の収集に力を入れ、これを詳細に分析することで、当時の染織品使用状況を図像資料からも明らかにしたい。渡航後にスムーズに研究活動に入れるよう、国内において基礎的研究を積み重ね渡航に備える。 ようやく新型コロナウイルスの影響による中国の規制緩和がなされたところであるので、最終年度である2023年度は、受け入れ機関からの許可が下り次第、短期間の渡航で集中的な調査を行うことを検討している。当初予定していた6か月間に満たない短期間であっても、できるだけ現地において調査を進め、最終年度に成果をまとめたいと考えている。
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