2020 Fiscal Year Research-status Report
Comparative study on the privatization of the Finnish eldercare system
Project/Area Number |
19KK0299
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 絵里香 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90706912)
|
Project Period (FY) |
2020 – 2022
|
Keywords | 高齢者ケア / フィンランド / 民営化 / 私事化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究は、申請者がフィンランド西南地方の村落部において遂行している実地調査の成果について、ヘルシンキ大のヴレーデ教授の研究グループが進める調査の成果と比較・検討するものである。 当初は2020年4月からフィンランドへ渡航予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、出発を8月に延期した。渡航後はヘルシンキ大学に所属し、ヴレーデ教授の組織するフィンランドの高齢者ケアをテーマとする広域研究プロジェクトCoE AgeCareにおいて、3回にわたって研究発表を行った。研究グループにかかわる多くの研究者と意見交換を行い、共同研究の可能性を探ってきた。 その結果、幾つかの比較研究の方向性が見えてきた。一つは都市部と地方における退職後の居住パターンの違いである。高齢者の住環境をめぐるエージェンシーと自己決定、コミュニティの形成について、タンペレ大のオウティ・ヨランキ教授と調査データの比較検討を進めている。もう一つは、インフォーマルケアに対する行政支援の在り方の地域差である。こちらはトゥルク大のヘレナ・ルオツサラ教授、ラップランド大のシャナイ・ベグム氏と調査データの比較検討を行い、地方間でインフォーマルケアのパターンに大きな違いがみられることの解釈を検討している。 研究成果としては、二回の口頭発表、一冊への分担執筆を行った。European Association of Social Anthropologists Associationの第16回研究大会では、在宅高齢者に対する緊急通報サービスの有料化について発表を行った。また、International Union of Anthropological and Ethnological Sciencesの研究大会および、分担執筆を行った編著においては、高齢者の転居と次世代への相続を通じて世代間の相互扶助について考察を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年4月からフィンランドに渡航予定であったが、8月に出発を延期した。渡航後も、感染終息の気配は見えず、大学がリモートワーキングを推奨しているため、研究交流はオンラインの場に限られている。また、都市部との比較調査を計画してきたが、これらの地域は新型コロナウイルスの感染状況が地方と比べて格段に悪く、民間企業・高齢者ケアの現場ともに、訪問することが難しい状況が続いている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度の前期はフィンランドに滞在する予定であり、新型コロナウイルスの感染状況も少しずつ終息の方向に向かいつつある。随時状況をモニタリングしつつ、調査対象者や研究揚力者の安全を確保できる範囲内で調査・研究を進めていくことが最善であると考えている。
|