2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishing a Unified Naturalistic Theory Concerning Practical Normativity and Epistemic Normativity
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19KK0303
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
蝶名林 亮 創価大学, 文学部, 准教授 (10802184)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | メタ倫理学 / 道徳哲学 / 認識論 / 自然主義 / 道徳的説明 / 局所主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
21年度は9月から渡英してオックスフォード大学のOxford Uehiro Centre for Practical Ethicsを研究拠点として本研究課題の遂行に従事している。 20年度から21年度前半にかけては日本国内で本研究遂行のための準備的な研究を実施してきたが、21年度後半から渡英をして本研究課題の遂行を本格化させることができた。特に、英国の研究拠点における共同研究者を含めた他の研究者との日常的な意見交換により、本研究の質が飛躍的に向上した。その結果、これまでにいくつかの英語論文を執筆できた(その中の一部は掲載に向けて査読者のコメントに基づいて修正作業を行っている)。 具体的には以下の点を今年度の研究により明らかにすることができた。 一点目として、道徳哲学と認識論の接点に関する近年の研究を検討し、その成果を国内の電子ジャーナルにて発表することができた(論文掲載は22年度春になる予定)。 二点目として、道徳的性質や知識の説明能力に訴える論法について詳細な検討を実施し、その中で、この論法を深化・発展させる新たな提案を構築することに成功した。具体的には、本研究の実施者が「局所的説明論法(Localist Explanatory Argument)」と呼ぶ新たな論法を提案し、その成果をいくつかの英語論文にまとめることができた。この論法によると、道徳的説明はいくつかの異なるタイプに分けることができるとされ、それぞれの性質に応じて擁護の方法も変わってくるとされる。この点に着目して、これまでメタ倫理学において提案されてきた道徳的説明を関連する経験諸科学の知見に照らして一つ一つ丁寧に検討していくというこれまで他の論者が行ってこなかった新たな方法を提示した。 二点目について、このような新奇性を持つ議論の大枠を構築できたことは、今後の研究遂行のためにも重要な成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究成果を英文ジャーナルに掲載することを目標としているが、21年度終了までにいくつかの英文論文を書きあげ、ジャーナルに投稿することができた。その中で、掲載の見込みがあるものもいくつか出てきている。これらの理由から、ほぼ研究計画通りに研究の遂行ができていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
21年度に構築した本研究課題の核となる局所主義的な論法を用いてタイプの異なる道徳的説明の成否を検討していく予定である。具体的には、道徳的判断の説明、徳・悪徳に訴えるタイプの道徳的説明の検討を行う予定である。また、本研究が擁護を目指すメタ倫理学における自然主義への代表的な反論としてDerek Parfitによるいくつかの議論を取り上げ、Parfitの反論の明確化、ターゲットとなっている自然主義的なメタ倫理説そのものの明確化、自然主義側からのParfitへの応答の検討を行う予定である。これらの研究は22年度前半の8月頃までにいくつかの論文にまとめ、22年度後半は日本に戻りそれらを精緻化させていくことを計画している。
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