2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing a Unified Naturalistic Theory Concerning Practical Normativity and Epistemic Normativity
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19KK0303
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
蝶名林 亮 創価大学, 文学部, 准教授 (10802184)
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Project Period (FY) |
2020 – 2023
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Keywords | メタ倫理学 / 自然主義 / 道徳的説明 / コーネル実在論 / 局所主義 / 道徳的実在論 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は共同研究のカウンターパートである英国・オックスフォード大学へ渡航するということはせず、本務校の創価大学を研究拠点として、これまでの研究成果をまとめ、英語論文の執筆に注力した。また、2023年の7月に行われた国際ワークショップにおいて研究発表を実施した(オンライン)。
最終年度には欧文ジャーナルに投稿していた道徳判断に関する論文が査読を通過し、年度内に出版された。
研究期間全体を通してメタ倫理学における自然主義的な道徳的実在論の再検討を行い、その中で道徳的説明に訴える論証を局所主義的(localist)なアプローチによって強化する新しい自然主義の擁護の手法を構築することに成功した。道徳的説明については「道徳的説明“一般”はかくかくしかじかの性質を持っている」というような語られ方をしてきたが、局所主義的に道徳的説明を考察した場合、個々の道徳的説明のそれぞれの特徴に目配りすることができる。そのような目配りをした上で、実在論的な説明を与えられる道徳的説明はどれなのか、より精緻な分析を与えることが可能となる(その結果、たとえばある社会が持ち得る社会正義のような道徳的性質の実在は示されるが、個人が持ち得るような徳や悪徳の実在は否定されるという結論になることも予想される)。メタ倫理学におけるこのようなアプローチは他に見られず、国際的にも高い新規性を持つ研究成果であると考えられる。本研究の成果は国際的な研究誌の査読も通過していることから、今後さらなる深化・発展の可能性があると考える。なお、本研究課題において示された研究手法は23年度から新たに実施している「局所主義的な道徳的説明の擁護を通じた自然主義的なメタ倫理説の擁護」(基盤研究C)に受け継がれている。
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