2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the causal effect of brain encoding of sound on being emotionally moved
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19KK0316
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 数馬 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招へい研究員 (70754696)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | 感動 / 音楽 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
感動は人が示す高次の情動状態であると考えられ、多くの人にとって重要な経験である。従来の研究において、心理実験や自律神経計測に基づいた検討が行われてきたが、その神経基盤を探る実証研究は、近年始まったばかりである。これまでの検討の多くは、感動が生じた際の脳活動を計測することに注力してきた。本研究では、脳機能計測実験と音響解析手法を組み合わせて感動の生起要因を解明および操作することで、感動と脳に関する研究の更なる発展を目指した。 本年度は、前年度に引き続きカナダに滞在してMcGill大学との国際共同研究を展開した。脳機能計測実験のデータについて、Robert Zatorre教授と繰り返し打ち合わせを行いながら解析を進めて、音楽聴取前の安静時数十秒の脳ネットワークから、感動の生起を機械学習によって予測できるか検討した。その結果、聴覚-報酬脳ネットワークのみから、主観的な感動の持続時間、生理覚醒の強度、側坐核と島の活性化強度を予測できることが明らかになった。さらに、異なる脳機能計測装置を用いて行った同様の実験から、機械学習による予測が再現されることが示された。また、この結果は状態的な聴取直前の脳ネットワークに限定されたものであり、特性的な10分間の安静状態下の脳ネットワークでは有効な予測が認められなかった。この研究について論文を作成し国際共著として投稿するとともに、プレプリントを発表した。 前年度に行った研究とこれらの研究により、研究機関全体を通じて(1)感動の生起に関わる音響および歌詞の特徴量を示したとともに、(2)感動の生起を促進する状態脳を示した。これらから、感動の生起要因についての新しい知見を示すことができた。
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