2020 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半のイベリア半島政治史における「権威主義的文脈」
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19KK0329
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508363)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | 権威主義体制 / イベリア半島政治史 / ファシズム運動 / ヨーロッパ「周辺」の政治史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本研究計画の初年度であり、当初の予定では5月から6月にかけて複数の共同研究者を訪問し、研究打ち合わせや簡単なセミナーを開催することで、研究計画に即した国際共同研究の体制を整備・始動させる予定であった。だが、研究代表者が滞在するスペインでは、2020年3月より新型コロナウィルスの感染拡大の影響が深刻化し、同年3月から6月、また10月末から2021年5月(予定)まで非常事態宣言が発令された。この措置により、国外だけではなくスペイン国内における移動や、大学や各種史料館の利用に大きな制約が生じ、上記の研究計画を大幅に修正せざるを得ない状況となった。こうした状況に即し、研究代表者自身は、一次史料の調査をひとまず見送り、二次文献の渉猟を研究活動の中心に切り替えた。 他方、その期間研究代表者は、共同研究者と電子メールなどで連絡を取り合い、新たに2名の若手研究者を本研究計画の共同研究者として迎えることができた。彼らはいずれも2020年に、スペインとポルトガルの権威主義体制、あるいはスペインとイタリアのファシズムの比較研究に関する博士論文を英語で公刊した気鋭の研究者であり、またおもにヨーロッパを中心とした各国での研究経験が豊富である。彼らを迎えることで、より充実した研究体制を構築することができたと考える。 また、2020年後半以降は、共同研究者が運営に携わるオンラインセミナーなどに参加し、2021年3月には研究代表者自身が、スペインのフランコ体制とポルトガルの新国家体制の比較研究の成果をスペイン語で報告した。 さらに、共同研究者が編集する論文集(英語)に研究代表者が寄稿することも決定し、執筆内容についても合意を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記した通り、新型コロナウィルスの影響により、当初の計画・予定は大幅に修正せざるを得なかった。だが、オンラインツールの活用により、共同研究者との打ち合わせは問題なく行うことができた。さらに、当初の計画においてはチームに含まれていなかった共同研究者を迎えることで、さらに国際的な広がりを持つ研究体制の基盤を構築できたことは、2020年度の重要な成果であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に構築した共同研究体制を基に、2021年度はより本格的に共同研究を進めていきたい。具体的には、やはりオンラインツールを活用して、セミナー・研究会を頻繁に開催していく。その中で、共同研究者とともに方向性を確認しつつ、研究成果を、①国際学会での共同報告、②英語もしくはスペイン語での論文集の出版という形で発表することを目指し、共同研究者とともに候補の学会をピックアップし、また出版社とのコンタクトを取っていくなどの作業を進めていく。 同時に、共同研究者の国際的ネットワークを活かし、ポルトガルをはじめとする各国政治史の研究者を招聘するなど、研究体制の拡充も目指す。
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