2021 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半のイベリア半島政治史における「権威主義的文脈」
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19KK0329
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508363)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | 権威主義体制 / イベリア半島政治史 / 戦間期ヨーロッパ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年9月までの期間、前年度に引き続き、マドリード・コンプルテンセ大学に籍を置きながら、現地研究者との共同研究および、そのために必要な史料・文献の調査を進めた。新型コロナウィルスの感染状況が依然として深刻だったため、史料調査や、共同研究者との対面でのセミナーの開催などには困難が伴ったが、オンラインツールを活用することで、この点を補った。また、新たな共同研究者を招き、研究体制を一層充実化することができた。 2021年9月に帰国後も、現地の共同研究者と緊密に連絡を取りつつ、2021年11月にはオンラインセミナーを企画・開催し、マドリードで2022年3月に開催された学会では、共同研究者のコーディネートの下で報告も行った。新型コロナウィルスの影響で、研究代表者は帰国後、海外調査を実施できなかったが、共同研究者が本研究計画の枠内で、イタリアでの調査研究を実施するなど、チーム全体での研究は進めることができた。 2021年度に公刊された研究成果としては、研究代表者による、イベリア半島を含めたヨーロッパ「周辺」における戦間期政治史の分析枠組に関する単著論文などが挙げられる。また、共同研究者らと「政治史と政治学を結びつける」というテーマで共著を執筆した(Routledge社より近刊予定)。 さらに、本研究をより幅広い枠組(政治理論、比較政治など)に位置付けるため、国内の研究者14名とともに「自由民主主義の裏面史」と題する共同研究プロジェクトを立ち上げ、複数回の研究会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に引き続き、新型コロナウィルスによる影響により、当初の研究計画は大幅な見直しを迫られた。具体的には、スペイン滞在中から帰国後まで、研究代表者による現地での史料調査や、学会・研究会への参加、共同研究者との対面での打ち合わせが行えなかったことである。 そこで、次善の策として、オンラインでのセミナー開催や、ハイブリッド型学会への参加を進めることとし、また、最終的な共同研究成果の取りまとめに向けて、ヨーロッパの共同研究者による史料調査を進めてもらうことにした。研究代表者も、スペイン滞在中に収集した二次文献の渉猟を進めている。また、研究計画全体の調整のため、オンラインでの研究打ち合わせを頻繁に行っている。 結果的には、研究代表者が本研究計画全体の分析枠組の構築を進め、共同研究者がそれぞれ担当する事例・地域について一次史料に基づく分析を進めるという、当初の計画における役割分担に基づいた共同研究が順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書を執筆している時点(2022年5月)において、新型コロナウィルスの感染状況は少しずつ改善しており、このまま順調に推移すれば、2022年度は研究代表者による海外調査などを再開できる可能性もある。その際は、当初計画に即し、本格的な現地調査を実施するとともに、共同研究者とともに、海外学会でのパネル申請などを計画したい。 ただし、もし感染状況が再び悪化し、海外への渡航が困難になった場合は、2021年度の手法(オンラインにより共同研究者と密接に連携を取ると同時に、共同研究者には史料調査と分析を進めてもらう)を踏襲しつつ、より頻繁にセミナーなどを開催し、研究成果の共有を図り、さらに研究成果の公刊に向けた話し合い(書物の構成、公刊に向けたスケジュール調整、出版社の選定など)も進めていきたい。
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