2023 Fiscal Year Annual Research Report
西太平洋地域における新連続的産科ケアパッケージ拡大のための実装研究
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19KK0333
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
堀内 清華 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00807646)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 医療ケアの質 |
Outline of Annual Research Achievements |
資源の限られた国で継続的に周産期ケアの質改善を図るため、利用可能な全てのデジタル機器を用いた教育介入について、スコーピングレビューを実施した。7つのデータベースで系統的検索を行い、最終的に抽出された、93の文献を解析した。新生児蘇生の教育において、低中所得国では、オンライン講義やアプリケーションなど、比較的低コストで教育コンテンツを届ける介入が多い一方で、高所得国では、蘇生用シミュレーターを用いる研究が8割を占めた。低中所得国においては、低コストなデジタル機器の実施可能性が高い一方で、デジタル機器を用いて教育コンテンツを提供する際に、双方向性のコミュニケーションの仕組みが、学習効果を高める上で必要であることが示唆された。また、デジタル機器を用いた教育介入の、長期的な教育アウトカムや新生児の健康アウトカムへの効果、デジタル機器の費用対効果におけるエビデンスが限られていることが示された。 結果をもとに、資源の限られた国であるラオスにおいて、地方の郡病院での医療ケアの質を改善するための介入を構築した。具体的には、郡病院の職員が頻回に自己練習を行い、教育指導に当たる県病院の職員が携帯アプリケーションでフィードバックを行う。新規介入の実施可能性を評価するため、2023年10月から2024年2月にかけて、ラオスにおける4つの郡病院でパイロット研究(クラスター無作為化比較試験)を実施した。郡病院職員の新生児ケア技術と、郡病院職員及び県・中央病院の指導者の介入に対する受容度の評価を行った。44人の郡病院職員を解析し、研究開始から3か月時点で、介入群でスコア点数が高い傾向が認められた。また、郡病院職員、指導者ともに、介入に好意的であり、診療技術や自信の向上につながったと感じていた。本結果をもとに、介入の修正を行い、効果を評価するための大規模クラスター無作為化比較試験を実施する予定である。
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