2021 Fiscal Year Research-status Report
19世紀グローバル化のなかのドイツ植民地経済政策――アジア経済への参入とその実践
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19KK0336
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
浅田 進史 駒澤大学, 経済学部, 教授 (30447312)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | ドイツ / アジア / 植民地主義 / 帝国主義 / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
基課題「19・20世紀世界経済統合のなかのドイツ植民地経済論」は、ドイツ植民地経済政策と同時代の植民地支配を前提とした世界経済秩序との関係性を明らかにすることを目的とした研究である。その際、①植民地労働、②植民地貿易政策、③植民地通貨・金融政策の3つの側面から具体的な事例を取り上げ、一次史料に基づいて、ドイツ植民地経済論が同時代のグローバル化といかに結びついていたかを検証してきた。本研究課題では、さらにこのテーマを発展させるために、以下の2つの研究方法をもって総体的な把握を目指すものである。 第一に、主たる対象地域をアジアに設定することである。労働、貿易、通貨・金融というテーマ性を優先させた基課題に、アジアという地域の設定を重ねることである。それによって、ドイツ植民地経済論と世界経済との相互関係性を総体的に把握し、その歴史的意義を論じることができるようになる。 第二に、ドイツでグローバル・ヒストリーをけん引する代表的な研究者の一人、ベルリン自由大学フリードリヒ・マイネッケ研究所のゼバスティアン・コンラート教授の協力を得ながら、ベルリン連邦文書館およびドイツ外務省政治文書館の史料収集・分析を十全なものにすることである。同時に、本研究テーマに関わるそのほかのドイツの文書館、また中国・米国での史料調査・研究交流を図り、研究の国際的な水準を高めていくことである。 本年度は2022年度以降の本格的な在外研究に向けた準備に取り組んだ。受け入れ先のベルリン自由大学フリードリヒ・マイネッケ研究所のゼバスティアン・コンラート教授と連絡をとり、ドイツにおける新型コロナ感染症の状況を踏まえた研究活動計画を検討した。滞在許可を得て、2月から3月にかけて渡航に向けた準備を進め、3月末にベルリンに向けて出発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は新型コロナ感染症の影響のため、一年遅らせることとなったが、昨年度に変更した予定にしたがって、受け入れ機関と連絡を取りつつ、在外研究を開始することができた。 ただ、中国でふたたび新型コロナ感染症の防止措置のため、現在のところ、同地での研究調査の目途が立っていない。この点について、今後の計画を見直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より本格的に渡航先での研究活動を開始する。2022年4月から8月にかけて、ベルリン自由大学を拠点として受け入れ先のゼバスティアン・コンラート教授と研究協力を進めながら、ドイツ国内各地の文書館での史料調査にあたる。ベルリンでは、ベルリン・リヒターフェルデ連邦文書館およびドイツ外務省政治文書館で史料調査、また同時代文献についてはベルリン州立図書館で文献の収集を行う。また、ドイツ植民地政策関連の史料をコブレンツ連邦文書館でも調査し、また東アジア協会関連の史料についてハンブルク州立文書館で調査を行う。これらと同時に、本研究プロジェクトに関係するドイツ国内の研究者と連絡を取りながら、積極的に研究交流を図る予定である。 これまでの計画では、9月から10月にかけて山東社会科学院を訪問し、また中国・山東省で史資料の収集を行う予定であったが、新型コロナ感染症の影響により、実現が困難な状況にある。 他方で、申請段階では2023年1月から2月にかけて、米国での史料調査と学術交流を予定しており、これについては準備を進めていく。とくに、本研究プロジェクトのうち、植民地貿易論で重要な具体的テーマとなる山東落花生の世界市場向け生産は、米国宣教師によって北米種が導入されたことに端を発している。 これらの史料調査を経て、3月にベルリン自由大学に戻り、コンラート教授とこれまでの史料調査および研究成果について議論する。また、今後の共同研究について意見交換を行い、3月末に日本に帰国する。 2023年4月以降、これらの研究成果を踏まえて、国内外での学会発表および学会誌への投稿の準備を進める。
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