2021 Fiscal Year Research-status Report
Politics of Electoral Reform in Democratizing Regimes
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19KK0337
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
鷲田 任邦 東洋大学, 法学部, 准教授 (50744893)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 選挙改革 / 選挙不正 / 権威主義体制 / 民主化 / サーベイ / マレーシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新興民主制における選挙改革によって、選挙の公平性がどの程度改善されるのか、選挙改革の実態とその規定要因、さらに効果と限界を明らかにすることである。本研究では、2018年の政権交代で一時的に民主化の契機が訪れたものの、2020年2月の政変とその後の政治的流動化を経て旧政権党が勢力を回復しつつあるマレーシアに着目し、選挙改革の実態やその規定要因、そして帰結(効果と限界)を明らかにすることを目指している。 具体的には、①選挙改革をめぐるエリートレベルの政治過程の検討、②選挙改革に対する有権者の認識・態度・関与に関する主にサーベイを用いた調査、そして③選挙改革の実質的効果の検証という3つの観点から体系的な質的・量的分析を行うことを目的としている。サーベイは、予算制約や感染状況を踏まえながら、実地によるものとオンラインによるものを双方実施する予定である。 本研究は、本来であれば2020年度から開始予定であったものの、パンデミックの影響を受け、開始時期を延期することになった。2021年に入ってからもパンデミックが収束していなかったため、2021年4月からの開始を見送らざるを得ず、ようやく2021年の12月頃から2022年度からの開始を念頭に準備を始めることとなった。本科研の予算執行が開始されたのは2022年の2月半に入ってからであるため、具体的な実績はまだ出ていないが、先行研究のレビューや基礎的な情報収集・分析に加え、2022年度中のサーベイ実施に向けた準備を現地の共同研究者とともに進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
概要で述べたように、本研究は当初2020年4月の開始予定だったものの、パンデミックの影響により開始時期を2022年2月まで延期せざるを得なくなったため、大幅な遅れが生じている。2021年度も実質的には予算執行開始の2022年2月半ばから3月末の1か月半のみであるため、本格的な作業は2022年度に入ってからになる。現時点では、先行研究のレビューやサーベイについての学習、選挙改革関連資料の収集や基礎的な事実関係の確認、予備的なデータ分析などを進めつつ、現地の共同研究者と今後の方針について打ち合わせを進めている段階である。 なお、研究開始を延期している間に、いくつかの州において州議会選挙が実施され、政権交代以前から長らく政権を握ってきた政党連合が勢力を回復しつつあり、選挙が2022年度内に実施される公算が高くなってきた。現在は、州議会選挙のデータ拡充と分析を進めるとともに、共同研究者と連絡を取りながら、政治状況の変化に合わせてサーベイの時期や内容について調整するなど、サーベイ実施の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を応募した2019年以後、政変に伴う政権交代やパンデミックによる研究開始時期の遅れが生じたものの、基本的には当初の予定通り、①選挙改革をめぐるエリートレベルの政治過程の検討、②選挙改革に対する有権者の認識・態度・関与に関するサーベイ調査、そして③選挙改革の実質的効果の検証という3つの観点から研究を進めるという方針に変化はない。 ①については、2018年の政権交代以降に実施された部分的な選挙改革の内容や背景、そして政変後の政治的流動化と旧政権党の勢力回復によって選挙改革がいかなる影響を受けたかについて調査を進める。②については、実地とオンラインのサーベイを用い、選挙改革に対する有権者の認識・態度・関与の規定要因について探っていく。③については、最近のデータを拡充しつつ、基課題(若手研究18K12712:権威主義体制における選挙不正手段の選択をめぐる比較研究 )を発展させながら、選挙改革の効果と限界について探っていく。 最終的には、①②③についてそれぞれいくつかの論文にまとめて国際誌に投稿し、成果発信を行っていく。また、本研究と並行して進めている選挙監視についての共同研究についても、2022年度中に成果を出したい。
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Research Products
(1 results)