2021 Fiscal Year Research-status Report
Quantum ergodicity of Levi-flat hypersurfaces
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19KK0347
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
足立 真訓 静岡大学, 理学部, 講師 (30708392)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 複素解析幾何 / レビ平坦曲面 / 量子エルゴード性 / 量子化問題 / 漸近解析 / ベルグマン空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象は、コンパクト複素多様体を2つの領域に分かつLevi平坦面である。Levi平坦面は、多変数複素関数論・正則葉層の力学系理論の双方に関わる基本的な研究対象である。本研究の基課題「Levi平坦面に対する容量概念の研究」(若手研究18K13422)において、研究代表者は双曲閉曲面の単位接束と呼ばれるLevi平坦面の典型例を解析し、このLevi平坦面の囲む2種類の領域の双方で、重み付きベルグマン空間の無限次元性を確かめた。そして、この計算結果を概念的に説明するため「Levi平坦面がコンパクト複素多様体を2つの領域に分かつ時、それぞれの領域上の正則関数のなすHilbert 空間は、等価な量子力学のモデルと解釈できるのではないか」という作業仮説を立てた。本研究の目的は、この仮説の検証である。そのために、Levi平坦面の種々の具体例において、2つの領域に共通する性質、特に量子エルゴード性の顕れる現象を探究する。新型コロナウイルス感染症の影響により、本国際共同研究は開始が遅れている。2022年3月末にドイツ・ケルン大学に渡航開始し、2022年度より共同研究を本格的に開始することとなった。2021年度は、ケルン大学のオンラインセミナーに遠隔参加し、共同研究者であるMarinescu氏の研究グループの最新の研究内容に関する情報収集を行った。また、基課題におけるこれまでの研究成果の整理を行い、上述の双曲閉曲面上の正則円板束の重み付きベルグマン空間の無限次元性に関して、2編の単著論文を取りまとめ、専門誌で出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は2020年9月より渡航して研究を開始する予定であったが、2022年3月の渡航開始となったため、研究の開始が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画に沿い、まず双曲曲面の単位接束に対してより詳細な解析を試みる。また、他の具体例において類似の現象を捜索する。共同研究者であるMarinescu氏の研究グループと議論を行い、広い観点からの研究の発展の方向性も探る。
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