2023 Fiscal Year Research-status Report
二枚貝殻考古学的試料の分析による環境・人類相互作用の変遷史解明
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19KK0352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 厚太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70463908)
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Project Period (FY) |
2020 – 2024
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Keywords | Sclerochronology / 成長線 / 同位体 / 貝塚 / 古環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年5月に6th International Sclerochronology Conference(6th ISC)を東京大学本郷キャンパスにて主催した.相手国研究者のAmy博士と研究室の学生全員のみならず,Amy博士の知人も複数来日し会議に参加し,対面で議論を深めることができた.日本側研究者白井の研究室に所属する学生や本分野に関連する日本人研究者と対面で交流する機会が得られ,それを機にさらなる国際共同研究が進んでいる.加曽利貝塚や千葉県完新世の地層などにて合同フィールド調査を実施し,人的交流を促進したのに加え,日本の貝塚試料を用いた新たな研究可能性についても議論を行った.Amy博士と6th ISCの特集号をPalaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology誌に企画し,ゲストエティターを担当している.本事業の国際交流により良い研究成果が得られているのみならず,国際共同研究体制が強固なものになっただけでなく,さらに広範囲に拡大させることができた. 昨年度引き続きDonax deltoidesの成長線解析と安定同位体分析を継続して実施した.酸素同位体比の周期的な季節変動と炭素同位体比の加齢に伴う変動が確認できた.酸素同位体比は概ね水温と良い相関を示し,採取時期を特定する指標としての有用性が示された. 2023年度は国際学会の開催や特集号の企画などの理由で相手国を訪問する機会が得られなかったため,研究期間を延期し2024年度に再度相手国を訪問し,研究成果の取りまとめを実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相手国研究者と日本側研究者はそれぞれの研究グループとしての交流体制が構築される程に強固なネットワークを構築することができ,若手世代を通した息の長い共同研究が期待できるようになった.特集号の共同企画など,当初想定していなかった成果も得られており,共同研究体制の構築という面では当初の計画以上に進展していると言える.一方,研究成果のとりまとめについては先延ばしになってしまい,若干の遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究については論文執筆に必要となるデータが概ね出揃っている.あとはそのデータについて議論を行い論文として取りまとめる作業が残っており,2024年度中に相手国研究者を訪問し議論を深める予定である.
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