2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding supernova gravitational waves and establishing protoneutron star asteroseismology
Project/Area Number |
19KK0354
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
祖谷 元 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (70386720)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | 宇宙物理 / 重力波 / 超新星爆発 / 状態方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの重力崩壊型超新星爆発の数値シミュレーションにおいて重力波の存在が示されているが、その物理的な背景は未だ理解が不十分である。そこで、我々は超新星爆発により生じる原始中性子星からの重力波の固有振動(や準固有振動)を系統的に調べ、超新星重力波の理解を深めることを目指している。昨年度までに、我々は、超新星重力波の振動数が初期は原始中性子星における重力モードで、後期は音波基本モードでうまく同定できることを示した。この際、中性子星における星震学ではよく知られている擬交差が重力モードと音波基本モードで起こることも示した。しかし、超新星重力波は、高密度物質の状態方程式や親星の質量などに依存するため、実際に超新星重力波の時間発展を捉えられたとしても、これらの依存性を無視しての議論は難しいと考えられていた。これに対して、我々は、様々な状態方程式と親星の質量を用いて原始中性子星における重力波星震学を系統的に行う事で、これらのインプットによらない形で、超新星重力波振動数を原始中性子星の平均密度(質量を半径の3乗で割ったもの)を用いてうまく表すことに成功した。この経験則を用いることで、将来超新星重力波の直接観測が成功した暁には、状態方程式や親星の質量がわからないとしても、生成された原始中性子星の平均密度に関する時間発展の情報を得ることができることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により当初予定していた海外研究者との議論のための海外出張が未だ叶わず、直接の議論ができていない。新たな数値コードの開発を目指しているが、現在まではそれ以外の部分で進めておくべき議論を行なっている。その中でも、本年度の成果である超新星重力波における経験則の導出は、未だよくわからない高密度物質に対する状態方程式の知識がなくとも、今後、我々の銀河系内で超新星爆発が起こった際には原始中性子星の物理量を引き出せるという点において非常に有益な結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
超新星爆発後に残される原始中性子星における星震学的な立場からの重力波解析において、これまでの研究では数値シミュレーションにより得られた数値データを各時刻において球対称化することで線形解析の背景モデルを用意していた。しかし、コアバウンス後、特に早期の原始中性子においては、物質の降着が無視できないと考えられる。そこで、これまで通りシミュレーションで得られた数値データを球対称化するが、動径方向の降着流を含んだ形で原始中性子星モデルを構築する。このような背景モデルにおける線形解析のために、まずは摂動方程式の導出をする。その後、数値的に固有値問題を解くことにより、降着流の影響を考慮したより現実的な原始中性子星モデルにおける放出重力波スペクトルを系統的に調べる。その結果、超新星重力波のうち、特に定在降着衝撃波不安定性に起因した重力波スペクトルの理解を深める。
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Research Products
(11 results)