2021 Fiscal Year Research-status Report
流木流出統合モデルによる気候変動リスクアセスメントの先導
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19KK0362
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小森 大輔 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50622627)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 流木流出 / 斜面崩壊 / 流木・土砂災害 / 気候変動 / モデル / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、気候変動も考慮した流木流出統合モデルへの高度化および河川生物多様性評価への応用に向けて、対象地域の選定および検証データの整備を進めた。 モデリング班に関しては、中国の災害データベースを基に、中国全土を対象に1997-2019年の期間に土砂災害が多発している地域を抽出し、四川省が最も多く南中国で多発していることがわかった。次に、中国全土の降水量データ整備し、1981-2020年の40ヶ年を統計期間として年最大日降水量の2-1000年確率降水量を解析した。中国東北部および中国南部にて大きい確率降水量が生じることがわかった。これらのデータに基づき、本研究の対象地域として四川省を選定した。次に、対象地域の降水量データおよび統合モデル相互比較プロジェクト(CMIP)の公開データを参照し将来気候の降水量データを海外共同研究者と共同で整備した。現在、基課題で開発した流木流出統合モデルの適用に向けて、モデルパラメータの整備を進めている。また、斜面崩壊物理モデルの検証データの整備として、基課題で開発した衛星画像を用いた対象地域の斜面崩壊域抽出を進めている。 生物多様性班に関しては、研究協力者がこれまでに生物多様性調査研究を実施してきた流域(名取川流域、耳川流域)を対象に、基課題で開発した流木流出統合モデルの適用に向けて、降水量データ、モデルパラメータおよび検証データを整備した。現在、対象地域のダム貯水池流域を対象にヒンジ幅を用いて異常時流出流木量を抽出し、モデル適用可能性の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、渡航前までの準備として、気候変動も考慮した流木流出統合モデルへの高度化および河川生物多様性評価への応用に向けて、対象地域の選定および検証データの整備を進めるとともに、オンライン会議システムを軸に海外共同研究者との研究議論を行なってきた。 モニタリング班に関しては、中国の災害データベースおよび降水量データを整備し、これらのデータに基づき、本研究の対象地域として四川省を海外共同研究者と共同で選定した。Covid-19パンデミックのため計画していた対象地域の山地渓流での合同現地調査は再来年度に実施することとし、来年度の海外共同研究者による現地調査や国際共同研究の進め方を議論・整理した。 生物多様性班に関しては、研究協力者がこれまでに生物多様性調査研究を実施してきた流域を対象に、降水量データ、モデルパラメータおよび検証データを整備した。来年度から海外共同研究者の所属機関で国際研究活動を実施するためのロジスティックの準備・基盤整備を進め、2022年4月に海外共同研究者の所属機関に渡航し、国際共同研究活動が実施できることが確定した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、気候変動も考慮した流木流出統合モデルへの高度化はCovid-19パンデミックのためオンライン会議システムを軸とした国際共同研究を展開し、これまでの現地調査および各モデルの検証・高度化を継続するとともに、河川生物多様性評価への応用は海外共同研究者の所属機関にて国際共同研究を実施する。 モニタリング班は、研究代表者は、基課題で開発した流木流出統合モデルの適用に向けてモデルパラメータの整備を継続するとともに、斜面崩壊物理モデルの検証データの整備として基課題で開発した衛星画像を用いた対象地域の斜面崩壊域を抽出する。大規模な土砂災害が発生した年を選定し、斜面崩壊物理モデルの試用実験を行う。この研究成果に関して、海外共同研究者と共同で国際論文を執筆する。海外共同研究者は、流木流出統合モデルの検証データの整備として対象地域のダム貯水池における流出流木量などの諸データの整備を進める。また、対象地域にて近年大規模な土砂災害が発生した山地渓流にて現地調査を実施する。都度、オンライン会議システムにて研究会を行いお互いの研究進捗を共有し、これらの成果を踏まえて流木流出統合モデルの試用実験を行う。 生物多様性班に関しては、特に基課題で開発した流木流出統合モデルは生物多様性評価手法の軸となるため、日本での対象流域での試用実験を共同で実施しながら、基課題で開発した流木流出統合モデル、協力研究者および海外共同研究者が開発した生物多様性評価手法をそれぞれ技術移転し、モデルと結合させる。生物多様性において、英国と日本では河川環境が異なることより、英国での現地調査を実施し、日本での現地調査結果と比較解析をし、モデルパラメータの整備を進める。これらの研究成果に関して、海外共同研究者と共同で国際論文を執筆する。
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