2023 Fiscal Year Annual Research Report
分子構造からみた時間-温度換算則の妥当性とMD解析による長期寿命予測法の開発
Project/Area Number |
19KK0363
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂井 建宣 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10516222)
|
Project Period (FY) |
2020 – 2023
|
Keywords | 分子動力学シミュレーション / 粘弾性力学 / 高分子材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、ポリエチレンだけでなくポリプロピレンおよびポリスチレンについて分子動力学シミュレーション(MD解析)を行った。粘弾性力学に基づく時間-温度換算則(tTSP)のメカニズムの解明を行うことにより、より正確かつ妥当な長期粘弾性挙動予測を目指した。 特に昨年度までにおいて自由体積(密度)が tTSP に及ぼす影響について、大気圧および静水圧下でさまざまな温度でクリープ解析を実施することで検討を行った。その際、鎖の可動性、自由体積変化、分子鎖間の相互作用など、粘弾性挙動に及ぼす温度の影響と密度の影響について、それぞれがtTSPに及ぼす影響を明らかにした。その中でも、分子結合の二面角ポテンシャルが温度変化に大きく影響を及ぼしており、非結合ポテンシャルは密度変化の影響を受けることを明らかにした。 また本研究期間を通じて、自動化されたtTSPの活用によりtTSPのメカニズムの解明が行われた。しかしナノインデンテーション試験を通じた実現象とMD解析の間にあるスケールの違いについては、ナノサイズの実験を行うことによりある程度の一致が見られたが、時間スケールの違いの影響が大きく、本研究課題においては、実験とMD解析の間のギャップを解消するには至らなかった。 そのほか、本国際共同研究において、新たな粘弾性材料に関する共同研究が多く立ち上がり、特にWood CompositeやGrapheneに関する研究、また界面活性剤に関する共同研究が立ち上がり、本研究課題以外においても国際共同研究力が強化されたと思われる。
|