2021 Fiscal Year Research-status Report
地球温暖化による干潟を有する沿岸海洋環境のリスク予測手法の開発
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19KK0380
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田井 明 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20585921)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | 干潟 / 干潟生態系 / 土砂 |
Outline of Annual Research Achievements |
波浪-流れ共存場における沿岸域シミュレーションおよび現地観測により15m程度の浅海域での土砂輸送に波浪が果たす役割が潮流と同等程度に大きいことを明らかにした. 昨年に引き続き,熊本地震以降白川河口干潟において6年間継続的に現地観測を行い,その結果,2016年7月の大規模な出水が原因で土砂堆積が発生し,その後2019年まで地盤高が低下し続けたが,2020年の特に大規模な出水によって再び土砂が堆積したことが分かった.また,2007年ごろ,2012年,2016年の大規模な出水時に二枚貝の生息密度が減少していることから,白川からの土砂供給量と貝類の個体数の減少にはある程度の相関があると考えられる.さらに,ホトトギス貝の流入と繁殖によって,アサリの生育が妨げられていると推察することが出来た. また,九州地方で生じている大出水による沿岸水環境の影響を調べるために豪雨後に八代海沿岸を対象に観測を行い水環境への影響を調査した結果,および水産業への影響について漁業者へ聞き取り調査を行った.その結果,有機物の炭素安定同位体比およびC/Nについては塩分と強い正の相関関係があり,DIN濃度, SS濃度, Chl濃度, PN濃度については塩分との間に負の相関関係があることが示された.また,有機物濃度の指標となるPOC濃度,PN濃度と植物プランクトン生物量の指標となるChl-a濃度の間にも強い正の相関関係が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ渦により,渡航はまだ出来ていないが,リモートでBangor大学Simon教授と打ち合わせを行い,共同で研究を進めた.その成果を2022年6月にスペインで開かれる国際水理学会で連名で発表する予定であり,国際共同研究は順調に進んでいると考えている.また,国内で取得するデータは順調に取得しており,次年度の研究計画は滞りなく進めることが出来ると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ渦で2022年度も英国への渡航が今のところ難しいため(渡航制限レベル2,4月1日現在),来年度に研究期間の延長を申請して,認められれば来年度に集中的に半年以上の渡航を行う計画である.
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Research Products
(3 results)