2023 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化による干潟を有する沿岸海洋環境のリスク予測手法の開発
Project/Area Number |
19KK0380
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田井 明 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (20585921)
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Project Period (FY) |
2020 – 2023
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Keywords | 底質輸送シミュレーション / 干潟 / 領域海洋モデル / 波浪推算モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
浅海域における底質の輸送現象は,海岸侵食や航路埋没などの沿岸域の防災や利用上の問題に関わるのみならず,水質や生物の生息環境などの環境保全を考える上でも重要な要素である.一方で,これまでの底質輸送シミュレーションでは潮流のみが考慮される場合が多く,波浪の影響を加えた研究例は少ない.そこで,本研究では潮流と波浪のカップリングモデルを有明海に適用し,その評価を行った.波浪・潮流の双方を考慮した底質輸送シミュレーションを行うために,領域海洋モデルROMSと,波浪推算モデルSWANのカップリングモデルを利用してシミュレーションを行う.カップリング計算ではROMSからSWANには流速,潮位,水深などの潮汐・潮流に関する物理量を,SWANからROMSには有義波高や波周期などの波浪に関係する物理量を双方向にやり取りさせた.このカップリングモデルでは,ROMSで行われる底質輸送計算に波の効果を底面せん断応力の増加として付加した.本研究では,2013年7月1日から15日を再現対象期間とし、潮流のみを考慮した場合と潮流・波浪の双方を考慮した場合の底質輸送シミュレーションを行った.まず,この期間の風速の時間変化を調べたところ,期間の前半に南方風速が増加していることが分かった.期間中の熊本港と潮流・波浪の双方を考慮した場合のシミュレーション結果の有義波高の時間変化を比較した結果,風速の増加と有義波高の増加が対応していることが分かった.B3地点の実測データ,潮流のみ,波浪と潮流結合の場合の濁度の計算結果から,潮流のみを考慮する場合よりも潮流と波浪の双方を考慮した場合の方がより現地観測に近い結果を得ることが出来た.また,研究期間の大半がコロナウイルスによる渡航制限期間となり,渡航期間が短くなったが,月1回程度のオンラインミーティングやメールでの議論により,渡航による共同研究の実施を補完できた.
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