2022 Fiscal Year Research-status Report
神経組織再生へのケイ素化合物の影響解明と新規神経組織再生材料の創製
Project/Area Number |
19KK0381
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
城崎 由紀 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40533956)
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Project Period (FY) |
2020 – 2023
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Keywords | 神経再生 / ヒドロゲル / キトサン |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経損傷は様々な程度の神経障害を引き起こすため,損傷組織を再生しその機能を回復する必要がある。キトサン-グリセロリン酸ヒドロゲルはゲル内のリン酸濃度が高く,ヒドロゲルの浸透圧が正常神経組織よりも高いためである。しかし,グリセロリン酸の添加量を減らすと,ゲル化時間が長くなりヒドロゲルの作製は困難となる。本研究では,キトサンーグリセロリン酸のヒドロゲルに第3成分を添加し,ゲル化挙動と分子構造の関係性,分解挙動,ゲル表面および内部での神経細胞・神経組織の接着・増殖を調べている。 アルデヒド基を含むシランカップリング剤のトリメトキシシランアルデヒド(TMSA)を用い,キトサンのアミノ基を架橋しヒドロゲルを作製した。TMSA添加量を増やすほど,ゲル化時間は速くなり,ゲル強度は向上した。キトサンに対してTMSA添加量がモル比で0.05までは,ゲル表面での神経細胞の接着,伸展,増殖が促進され,ゲル強度と神経細胞適合性との関連が示唆されたが,0.05以上になると接着し増殖はするが,伸展は抑制された。 培養前のゲル化が不十分な場合に,細胞がゲル内部に侵入している様子が観察され,ゲル内部でも細胞の伸展・増殖が観察された。ヒドロゲルと培地を混合した系でも,ゲル化は確認できたが,細胞伸展や増殖への効果はなかった。 マウス後根神経節の試験は,モル比0.10のゲルで検討したが神経突起の伸長は観察されなかった。 シランカップリング剤の添加量を増やせない為,ゲル強度の改善にキトサンナノファイバーを加えた。ナノファイバーは一般に直径が100 nm,アクセプト比が100以上であり,高アスペクト比,低密度,高弾性率,優れた機械的強度を持つ。高分子材料にナノファイバーを混合すると,材料強度が向上することが報告されている。キトサンナノファイバーを添加すると,添加量に伴いゲル化時間が短縮され,ゲル強度は増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画通りに進んでいるが,神経組織再生に対して効果的ではない結果を得たので,材料設計を検討し直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
RT4の培養結果から,材料設計(使用するシランカップリング剤の種類,ナノファイバー添加量)を再検討し,NSC34細胞を用いた運動機能への効果を検討し,マウス後根神経節の試験を再度行う。
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