2023 Fiscal Year Annual Research Report
神経組織再生へのケイ素化合物の影響解明と新規神経組織再生材料の創製
Project/Area Number |
19KK0381
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
城崎 由紀 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40533956)
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Project Period (FY) |
2020 – 2023
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Keywords | 神経再生 / ケイ素化合物 / シュワン細胞 / マウス後根神経節 / モーター細胞 / ヒドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究では,海外共同研究者Stefano Geuna教授およびStefania Raimondo教授のグループと共に,ケイ素化学種の分子構造の解明とその構造が神経細胞および神経組織に及ぼす影響を明らかにすることと,新規神経再生用足場用マトリックスとなるヒドロゲルを創製することを目的とした。 これまで研究代表者が取り組んできたキトサン-シロキサン複合体を用い,ケイ素化学種を含む抽出液を作製し,培地中の濃度だけではなく,それらの構造の違いが各神経細胞および神経組織の活性に影響することをin vitro試験により明らかにした。抽出溶液中の化合物の分子量は,出発原料組成によって異なった。 抽出液中の高分子量化合物は,シュワン細胞(RT4-D6P2T)の増殖を抑制したが,モーター細胞(NSC34)やマウス後根神経節(DRG)の活性を促した。 一方で,昨年度から継続し,キトサン–グリセロリン酸ヒドロゲルをアルデヒド基を有するシランカップリング剤のトリメトキシシランアルデヒド(TMSA)で架橋し,ヒドロゲルの構造や物理的特性およびin vitroでのシュワン細胞(RT4-D6P2T)の応答性を確認した。ヒドロゲルから溶出した成分は,神経細胞の増殖に影響しなかったが,ゲル表面に接着したシュワン細胞は生存および分裂しているが,樹状突起を有した正常形態を取らなかった。これは,ヒドロゲルの剛性がシュワン細胞の接着や遊走に適していないと考えられる。ケイ素を含む化合物は神経細胞に対して毒性を持たないことは明らかなので,今後ヒドロゲルの物性をより神経組織の好むものに改善していく必要がある。
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