2021 Fiscal Year Research-status Report
逃避行動のコマンドニューロンにおける軸索起始部の可塑性メカニズム
Project/Area Number |
19KK0383
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山方 恒宏 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (50716248)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | 軸索起始部 / ドーパミン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
軸索起始部(AIS)は、活動電位の発生部位として神経出力の決定に関わり、神経可塑性の起点となるだけでなく、その異常は神経疾患や精神疾患の原因になる。本課題は、AISの可塑性に関わる分子基盤を明らかにするため、特にドーパミン受容体の一種DopEcRに着目し、機能解析することを目的としている。
当該年度は、無事に渡米を果たしアイオワ大において研究滞在を開始することができた。前年度までの予定どおり、まず神経芽細胞の初代培養系の習得に取り組んだ。この系では、特定の発生段階の胚由来神経芽細胞の細胞質分裂をサイトカラシンBによってとめ、巨大かつ多核の神経芽細胞を作製する(Wu et al., J Neurosci. 1990)。この「巨大培養ニューロン」は、細胞体が10μm以上に成長し、軸索や神経分枝、糸状偽足が広く大きく伸張するという形態的特徴を持つが、それが十分再現可能であることがわかった。また、この培養細胞を共焦点レーザー顕微鏡下で観察することで、光学限界に近い超高解像度で単一細胞の形態的細部の特徴を可視化できることが分かった。そこで、DopEcR-Venusトランスジェニックショウジョウバエにより、単一巨大培養ニューロン上のDopEcR分子の可視化を試みた。その結果、多くの細胞がDopEcRを発現すること、また細胞体から突出する軸索の基部、すなわち“軸索起始部”様領域にDopEcRが局在することを見出した。興味深いことに、同じような軸索領域に電位感受性ナトリウムチャネル(NaV)が集積することも見出している。これらの成果を受け、現在、パッチクランプ法による細胞膜電流の測定を巨大培養ニューロンから行うべく、セットアップ中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養巨大ニューロンの作製技術を習得し、DopEcR、さらにはNaVの軸索起始部様領域への局在が発見できたことは、予想以上の成果といえる。
一方、その機能を解析するためのパッチクランプ計測リグの構築に予想以上に難航している。コロナ禍の制約もあり、思うように欠品部品の調達が進まない、共同研究者の作業時間が確保できない等が原因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
パッチクランプ計測法を習得し、DopEcRの活性化に伴うイオン流の変化を解析することでAISにおけるDopEcRの制御様式を理解する。一方、今後パッチクランプ法の実施が困難と判断されるような場合は、カルシウムイメージング法や代替となる新たな手法の導入も検討する。
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Research Products
(2 results)