2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19KK0401
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉見 一人 東京大学, 医科学研究所, 講師 (50709813)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | ゲノム編集 / CRISPR-Cas3 / 標的特異性 / オフターゲット解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
汎用性、安全性の高い高効率なゲノム編集ツールは、様々なライフサイエンス分野の基礎研究・応用研究両面に必要不可欠な技術である。これまでに大腸菌由来CRISPR-Cas3が真核細胞のゲノム編集に利用できることを見出した。CRISPR-Cas3を社会実装できるゲノム編集ツールとして確立するためには、安全性や効率などを正確に評価する必要があるが、CRISPR-Cas3の標的特異性を正確に評価できる解析手法は確立されていない。本課題研究では、スイス連邦工科大学のJacob Corn教授らと共に、CRISPR-Cas3の生体内ゲノム編集における正確な評価システムの開発を目指す。 当該年度11月からスイス連邦工科大学に滞在し研究を開始している。CRISPR-Cas3でゲノム編集したヒト培養細胞に対して、複数のDNA修復関連因子に対する抗体を用いてクロマチン免疫沈降(Chip)を行った結果、CRISPR-Cas3の標的配列部位で特定のDNA修復因子が集積することが明らかになった。現在、複数の抗体を用いてChip-seqを行い、正確にオンおよびオフターゲットを検出できる実験系の確立を検討している。最終的に、マウスを用いた生体内ゲノム編集における評価系として確立する。 本法によりCRISPR-Cas3の高効率かつ高安全性を持ったゲノム編集が可能であることを実証することで、産業応用やゲノム編集治療などへの活用を踏まえた独自性の高いゲノム編集ツールとして確立できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、DNA修復因子を利用したin vivoゲノム編集評価法を開発し、CRISPR-Cas3が汎用性および安全性の高いゲノム編集ツールであることを実証することである。当該年度は、スイスに渡航し、CRISPR-Cas3でゲノム編集したヒト培養細胞に対して、複数のDNA修復関連因子に対する抗体を用いてクロマチン免疫沈降(Chip)および濃縮されたDNAを用いてqPCRを行った。その結果、複数のDNA修復因子を対象にしたChipで、CRISPR-Cas9と同様にCRISPR-Cas3でも標的配列付近のDNAに集積していることが明らかとなり、Chipによって変異導入部位を検出できることが明らかになった。現在Chip-seqによる全ゲノム解析を実施しており、概ね計画通り進行している。また、今後の実験動物を用いたin vivo評価に向けても準備を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策として、継続したChip解析、特にChip-seq解析により、全ゲノム中でのオンおよびオフターゲットへの効果を検討する。最終的には、得られた結果からオフターゲットになり易い配列を予測できる新しいオフターゲット予測プログラムを開発し、世界中のユーザーが利用可能なwebツール化を目指す。また、当初のオフターゲット解析ツールの確立に加えて、ヒト細胞内におけるCRISPR-Cas3の標的配列の特異性を網羅的に調べることを目的とした実験系も新たに構築している。標的配列の違いによる切断効率の差を網羅的に調べることで最終的にオンターゲット効率も加味したオフターゲット解析ツールの開発を進める。
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Research Products
(15 results)