2020 Fiscal Year Research-status Report
胃癌におけるクロマチン構造異常による癌化機構の解明
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19KK0415
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡部 篤史 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (80778118)
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Project Period (FY) |
2020 – 2021
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Keywords | クロマチン構造 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究では、高度なクロマチン構造解析を可能とし、癌ウイルス感染に伴うゲノムワイドなクロマチン構造変化を詳細に同定する。対象を癌ウイルス感染による胃癌だけでなく、胃癌全体に拡大し、胃癌におけるエピゲノム異常及びクロマチン構造異常を統合的に解析することにより、胃癌の各分子サブタイプとエピゲノム異常、クロマチン構造異常との関連を明らかにし、胃癌の癌化・癌悪性化メカニズムを解明する。 これまでに、胃正常上皮細胞株2例、胃癌細胞株15例を用いてHi-C法によるクロマチン構造解析を行い、クロマチン構造変化による層別化を行った。これにより、Epstein-Barrウイルス(EBV)陽性胃癌特異的なクロマチン構造変化を同定した。更にEBV陰性胃癌についても更にクロマチン構造変化で2群に分かれることを明らかにした。更に、胃癌臨床検体について、EBV陰性胃癌サンプル1例、EBV陽性胃癌サンプル1例についてもHi-C法を行い、解析を進めている。 更にIn vitroでのEBV感染系を用いて、ウイルス感染前後におけるHi-C法によるクロマチン構造データを取得し、解析を進めている。特にクロマチンの活性状態と相関するコンパートメント変化、転写制御機構の理解に重要なドメイン構造変化を同定した。 また、胃癌におけるこれまでのゲノム異常のデータから高頻度での変異が報告されているARID1aについて、ノックアウト細胞の樹立とHi-C法によるクロマチン構造のデータを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの世界的蔓延により、現時点で渡航が難しく、渡航時期の目途も立っていない。新型コロナの状況が改善し次第、渡航を行いたい。 しかしながら、可能な範囲で国際共同研究を進めるため、国内で取得可能なデータについて取得を進めている。また、Zoomによるweb会議によりディスカッションを進め、データ解析についても進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍によって渡航が困難であったため、国内でのデータ取得を進め、更にweb会議でのディスカッションによるデータ解析を進めている。 今後の研究の方向性として、クロマチン構造変化により層別化された胃癌サブタイプごとに特徴的に変化しているゲノム領域の抽出と、これまでの共同研究により得られたエピゲノムデータを統合解析を進め、クロマチン構造異常誘導機構の解明につなげたい。 更に、胃癌において高頻度な変異が報告されているARID1aなどのエピゲノム・クロマチン構造関連因子についてノックアウトによるクロマチン構造異常、エピゲノム異常を統合解析し、癌化メカニズムの理解につなげていきたい。
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