2022 Fiscal Year Research-status Report
エラスチン架橋部位の構造決定とCOPDの新バイオマーカーの発見
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19KK0420
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
臼杵 豊展 上智大学, 理工学部, 教授 (50514535)
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Project Period (FY) |
2020 – 2023
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Keywords | desmosine / エラスチン / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
弾性線維エラスチンは、786アミノ酸残基のトロポエラスチン単量体の間の複雑な架橋による多量体であるが、エラスチンの弾性・伸縮性に寄与するアミノ酸desmosine類を中心とした架橋部位の周辺構造は未解明である。本研究では、基課題における有機合成化学を基盤として調製できる環状ペプチド型desmosine類を用いることとする。そして、海外共同研究先に設置のLC-MS/MSを利用して、合成した環状desmosineペプチド、天然のエラスチンを酵素分解処理した試料、さらにはエラスチンの分解をともなう慢性閉塞性肺疾患(COPD)由来の試料について、フラグメンテーションや保持時間を詳細に解析することにより、desmosineを含む架橋構造の同定・解析を推進する。 当該年度は、これまでに基課題で達成している環状ペプチド型desmosineの他の構造をもつ環状ペプチドの化学合成を、応募者の研究グループにおいて継続的に達成した。この化合物は、desmosineを中心骨格とし、アラニンとセリンによる2つのトリペプチドを有する大環状ペプチドである。そして海外共同研究先において、質量分析を遂行した。さらに、環状ペプチドの原料となるlysinonorleucineの全合成に、応募者のグループで世界で初めて達成した。この試料についても、共同研究先で測定を開始した。 今後、さらに合成と質量分析を進めることで、エラスチン架橋構造の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パンデミックの影響
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Strategy for Future Research Activity |
現在、基課題および前年度までに達成している環状ペプチド型desmosineに対して、別の構造をもつ環状ペプチドの化学合成を推進する。すなわち、ピリジニウム骨格に対して「知恵の輪」構造をもつペプチド化合物の合成を目指す。 国際共同研究は引き続き続けることで、LC-MS/MS解析を推進する。現時点では、米国で開催予定のGordon Research Conference "Elastin, Elastic Fibers and Microfibrils"(2023年7月23~28日)において、ディスカッション予定である。残りの渡航予定は、現在の世界情勢(ウクライナ戦争)を見据えて判断していく。
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