2022 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of Agricultural-related Resources in the Shrinking Suburbs of Mega Cites
Project/Area Number |
19KT0007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 洋憲 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80360387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 重吉 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60595685)
山田 崇裕 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (40625076)
寺田 徹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00619934)
新保 奈穂美 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 講師 (40778354)
吉田 真悟 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (00848624)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2024-03-31
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Keywords | 人口減少 / 大都市近郊 / 土地利用 / 農業経営 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
東京都内の農業経営者に対するアンケート調査の分析から,生産緑地貸借の契約条件は,貸し手に有利な短期間の使用貸借が多いことが確認された。また,借り手は営農条件に対する要望が強く,貸し手は地域との調和に対する要望が強かった。さらに,地域社会に貢献する取組みを実施する農業経営のレジリエンスの高さが示された。 環境面の評価として,東京都内の農業者4名へのヒアリングをもとに炭素量を推定した結果,施設栽培中心でも,周囲の住宅地と比較して約3分の1程度の排出に留まっていた。 東京都町田市の市街化区域内農地の転用・残存の実態についてGISデータを用いて分析を行った。さらに,農地貸借についてNash解を用いて分析した結果,交渉は非合意点の利得が高い方が有利であり,耕作者,地主共に他に農地を貸借できる相手の有無が,地代水準に関係することが示された。耕作者にとって特定の地主以外に貸し手がいない場合に地代水準が高額となる一方,安い地代の貸し手がおり,地主にとって他の借り手がいない時,地代水準は0円(使用貸借)となる。双方に貸借相手がいる場合,従前条件では貸借が成立するが,より好条件で貸借できる相手がいる場合は貸借が成立しない。よって,均一な地代水準の推奨による貸借の促進が示唆された。 コミュニティガーデンにおけるCovid-19への対応について,東京都日野市のせせらぎ農園を対象として,参加記録や参加者へのインタビューを用いた混合研究法により明らかにした。外出自粛の制約の中でも,話し合いにより感染防止策を検討しルールを決め,活動を継続し,参加者は精神的な安定を得られていた。また,東京都内の先駆事例である世田谷区喜多見4・5丁目農の風景育成地区について,同区みどり政策課へのヒアリングを実施した。約10年前の指定申請から現在までの活動内容,管理・運営に関わる民間組織の特徴と変遷,活動成果を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの間,新型コロナ感染拡大のため,現地調査の実施が大きく遅れ,進捗に影響があったものの,2022年度は,調査結果の分析および成果公表が大きく進展した。とくに,研究メンバー全員による,編著のとりまとめを行うことができ,2023年度前半での出版を目指している。ただし,論文公表については,執筆中のものもあるため,次年度中の投稿を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,本プロジェクトの中心的成果として,編著のとりまとめを行い,出版した成果を広く周知する予定である。 また,2020年の農林業センサスを用いた都市農業の現況に関する分析について,GISデータと結合させた分析を実施している。さらに,日本政策金融公庫や日本農業法人と共同で実施したアンケート調査分析を用いて,他地域と比較した都市農業の持続可能性やレジリエンスに関する分析を実施する予定である。分析結果は,論文として投稿予定である。 町田市の都市農家への現地聞き取り調査から得られたデータと,協力ゲーム理論による農家行動モデルを用いて,都市農地貸借の分析を行い,持続的な都市農地の保全に向けた対策を考察した。得られた研究成果は取りまとめ,今後,国際誌へ投稿予定である。 Covid-19パンデミックへコミュニティガーデンがどのように応答したのかについて,国際会議で発表した成果をさらに精査し、査読付き国際誌に投稿するために英語論文を執筆中である。さらに,人口減少しつつある神戸市において,民間事業者も含めた多様な主体が主導して空き地等を活用した農園が急増しているため,その事例調査も追加的に行っている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更のため。 次年度,研究成果公開のための編著の出版,および成果の論文投稿料等に支出する。
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Research Products
(14 results)