2019 Fiscal Year Research-status Report
Production of fish oil-alternatives from food waste toward to realizing robust aquaculture
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19KT0012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 智司 広島大学, 工学研究科, 教授 (80313295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 知行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20509533)
梅原 亮 広島大学, 環境安全センター, 助教 (40825791)
海野 徹也 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (70232890)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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Keywords | ラビリンチュラ類 / 代替魚油 / 高度不飽和脂肪酸 / 養殖漁業 |
Outline of Annual Research Achievements |
養殖魚の成長にはドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸(PUFAs)が不可欠であり、養魚飼料にはPUFAsを含む魚油が最大で15%程度まで添加されてきた。その一方でDHAやEPA含有食品の消費も拡大するなど、魚油の需要は増加の一途にある。本研究では、DHAやEPAを生産するラビリンチュラ類に着目し、有機性廃棄物や有機性排水など未利用資源を用いながらも滅菌操作を伴わないラビリンチュラ類の培養と、PUFAsを含む藻体バイオマスを代替魚油として利用する方法論を確立することを最終目的とする。 今年度はラビリンチュラ類の株について、培養条件がPUFAs産生に及ぼす影響の評価を評価すると共に、PUFAs産生に好適な有機性排水や有機廃棄物の検討、ならびに魚の消化酵素によるラビリンチュラ類バイオマスの消化について評価した。温度や塩分濃度、pHを変化させた系で培養を行い、25℃、pH7、15~30 psuが好適であることを確認した。脂肪酸の産生はpHによって影響を受けた。また、培養に好適な有機性廃棄物や排水の検索を行い、レモンなどの外皮といった植物系の廃棄物、味噌工場排水など塩分を含む排水もが同類の培養に利用可能であることを認めた。さらに、実験室レベルではあるが、これらを用いた培養において、予め滅菌操作を行わずとも、pHを調整することで混入微生物の影響を低減できることを確認した。但し、混入微生物があった場合、産物の脂肪酸組成に影響することも認めた。さらに、ニジマスの消化器から抽出した消化酵素により、ラビリンチュラ類の消化が起こることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進展しており、魚の消化酵素によるラビリンチュラ類の消化も確認できたことから、本研究のシナリオの実現可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は培養条件によりPUFAs産生量が変遷した機構を評価する。さらに、魚類への⑨次試験に備え、非滅菌状態で有機性廃棄物や有機性排水を用いてラビリンチュラ類を大量培養する手法を見出す。そして、実際にラビリンチュラ類を魚類に給餌し、PUFAs蓄積を評価する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、試薬の入手に時間が要する等、年度末での分子生物学的分析に影響があったため。残存分は2021年度中に執行する予定である。
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