2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating temporal coordination dynamics that form individualities of ensemble performances
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19KT0030
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡野 真裕 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (90809956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紅林 亘 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (70761211)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2023-03-31
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Keywords | 合奏 / 対人間協調 / 結合振動子 / 協調ダイナミクス / complexity matching |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は過去の研究(Okano et al., 2019, Physica A)で提案した数理モデルに基づいたHumanizer(打ち込みで作成した電子音楽にゆらぎを与えるプログラム)のプロトタイピングを主に行った。 過去の研究において我々は、2人組の参加者が、一定のテンポと互いの同期を維持しながらタッピングを続ける際の相互タイミング調節と、そこからテンポの加速が生じるという現象のモデル化に成功している。このモデルの数値シミュレーションで得られる、ばらつきを伴った2人組のタップタイミング時系列を、2パートからなる楽曲の各パートに対応させ、打ち込みの電子音楽のタイミングにゆらぎを与え、聴取した。ゆらぎの与え方としては、同論文で紹介した3つのシミュレーション設定(1. 実験結果に近い振る舞いとなる設定、2. 周期修正を極力抑えた設定、3. それらの中間的な設定)を採用した。 その結果、1. や3. の設定では、「タイミングのずれに不自然なほど過敏に反応している」という印象となり、2.の設定であれば比較的自然な印象となることがわかった。このことは、タイミングのばらつきの大きさそのものが同じであっても、その時間的構造により、音楽としての聴取印象が変化することを示唆している。現在、この聴取印象にどの程度の再現性があるのかを確かめるためのオンライン聴取実験を行うため、適切な楽曲やパラメータの設定を模索しているところである。また、現在試作が完了しているシステムでは、Humanizerを適用した際に、オンセットタイミング以外の情報(音の強弱や、鍵盤がリリースされたタイミングなど)が抜け落ちてしまうという問題が生じている。これらを回避するための方法についても、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属機関の異動に伴い主に授業に関連する負担が増えたことや、異動が内定したタイミングも年度末の差し迫った時期であったため、しばらく前職での業務を並行して進める必要が生じたことなどにより、思うように研究に時間を割くことができなかった。また、オンライン行動実験システムの外注も要件と仕様の定義が難航したため、中断して改めて自家開発を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症が収束に向かうか再流行が始まるか読めないため、今後もHumanizerの開発、数理モデルのシミュレーション研究および理論解析、オンライン実験で可能な内容を中心に研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
オンライン行動実験システムの開発を外注しようと業者との打ち合わせを行ったが、要件と仕様の定義が難しく、その段階から業者に相談に乗ってもらいながらとなると現在の予算では不可能ということになり、諦めざるを得なかった。残り期間が限られているので、今後はよりシンプルな聴取印象評価のオンライン実験を重視し、こちらのシステムの開発や実験参加者の募集に用いる。
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