2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating temporal coordination dynamics that form individualities of ensemble performances
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19KT0030
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡野 真裕 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (90809956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紅林 亘 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (70761211)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2024-03-31
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Keywords | 結合振動子モデル / ヒューマナイザー / タイミング / ゆらぎ / 協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2人組タッピングの数理モデルの理論解析や、ヒューマナイザー(打ち込みの電子音楽のタイミングにゆらぎを与えるプログラム)の実証実験に関して一定の進展があった。 モデルの理論解析においては、マルコフ連鎖モンテカルロ法によるベイズ推定を用いることにより、実験データから各個人のパラメータを推定する方法を開発し、実装できた。 ヒューマナイザーの実証実験に関しては、等間隔のドラムタッピング音の系列をベースにして、数理モデルに基づいたタイミングのゆらぎを与えた音源と、ランダムなタイミングのゆらぎを与えた音源を作成し、それらの聞き分けが可能かをオンライン実験により検証した。参加者をアンサンブル演奏を行う団体に所属した経験がある者・ない者に分けて分析を行ったところ、アンサンブル経験のある者のグループにおいては、モデルに基づいたゆらぎとランダムなゆらぎを有意に区別できたという結果が得られた。アンサンブル経験のない者のグループにおいては、刺激間で有意な差は得られなかった。アンサンブル経験のある者の群とない者の群では音楽洗練度の得点にも有意な差があったが、音楽洗練度得点の多寡は、音源を区別できるかとはあまり関係が無いようであった。これらのことから、我々のモデルに基づいたヒューマナイザーは、ランダムなゆらぎを与えるだけのものと比べて、少なくとも一定の能力を持った人が聞き分けようと思えば聞き分けられる性質のものであることが示唆された。
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