2020 Fiscal Year Research-status Report
農作業死亡事故を抑止するための情報収集・活用システムの構築に向けた課題の解明
Project/Area Number |
19KT0032
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20341729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 正実 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10603425)
武山 絵美 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90363259)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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Keywords | 農作業安全 / 農作業事故 / 対面調査 / 法令・社会制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では農作業事故の原因を人的要因・機械的要因・社会的要因に大別し,①農業者への対面調査,②危険を検知し機械を制御する装置開発,③経験知(情報)の収集・活用を行うために必要な社会制度の仕組みについて調査分析を行うことを目的としている。2020年度は海外における農作業安全に関する社会制度についてヒアリングを行う予定であったが,コロナウィルスの世界的な万延に伴い,①農業者への対面調査と農作業事故情報の収集・活用に関する調査研究を重点的に進めた。 具体的に,乗用型農業機械が走行する進入路前後の路盤支持層の勾配を電子平板測量によって測定し,そこから車体の傾きを算出することで危険箇所の構造的特徴を明らかにした。さらに作業者が 危険を回避するために実践している環境改善手法を収集・整理することを通じて農作業事故抑制を前提とした進入路の形状や整備手法を考察した。 また農作業事故を人身事故と物損事故に大別し,農業用車両の位置関係・挙動内容などから移動中における物損事故の発生傾向を分析した。15,376件の事故事例から移動中の物損事故(1,809件)を抽出し,事故の発生傾向を分析した結果,物損事故の9割は農業用車両の走行中に発生し,電線やフェンス等の静止物に衝突する事故が物損事故の6割を占めていた。また道路種別で分類したところ,物損事故の約8割は国・県・市町村道などの公道上で発生していることを明らかにした。 さらに愛媛県を対象として行政や農協等がそれぞれ個別に実施している事故事例調査状況を把握し,継続的・網羅的に事故事例データベースを作成するための基礎的知見を得た。とくに樹園地の圃場整備に取り組む地区を対象に,作業の効率化と安全性の向上を両立するための条件の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染拡大に伴う非常事態宣言の発令および渡航制限に伴い,当初計画していた現地調査が順延となり,進捗状況に影響を及ぼした。
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Strategy for Future Research Activity |
農作業安全法令に関する海外調査は,新型コロナウィルス蔓延に伴う渡航制限等により今後も変更・調整が必要になると考えられる。 今後は,事故の発生状況ならびに事故原因に関する国内調査を継続するとともに,機械的な制御システムの開発を進める。とくに全国的に情報が不足している樹園地・畑を対象に,情報収集の仕組みを検討するとともに,樹園地の圃場整備現場に参画し,過去の事故事例を実際の設計に反映するための仕組みを構築するために,クリアすべき課題を整理する。 2020年度に順延した調査については,今後の社会情勢を踏まえつつ2021年度に実施する。なお社会情勢によりさらなる変更が必要と判断された場合には,共同研究者と議論を行い,成果結実のために研究期間の延長についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの万延に伴い,予定していた現地調査・データの取得が大きく制限されたため,次年度使用額が生じた。これらについては,コロナウィルスの収束状況や社会情勢を踏まえ,実施可能な状況になり次第,計画的に使用する。
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Research Products
(3 results)