2020 Fiscal Year Research-status Report
沿面放電を用いた魚卵に対して大量一括処理可能な遺伝子・分子導入技術の確立
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19KT0035
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
池田 善久 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (00735318)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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Keywords | 沿面放電 / スマ魚卵 / メダカ魚卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
沿面放電処理によるスマ魚卵への分子導入について、昨年度の結果より1から16細胞期の生存率が0となる課題があった。導入効率の電流依存性を確認しており、孵化率向上と分子導入の両立を目指し、16細胞期以前の場合の電流値および放電処理時間の最適化を実施した。導入物質には昨年同様FITC-dextran(10kDa)を用いた。8細胞期および16細胞期で導入実験を行った結果、電流値55mA以下で生存率が70%以上になることを確認した。未処理個体の孵化率が75~80%程度であることから、低侵襲化を達成した。55mAで処理時間100msの導入効率が25%、50msで20%、孵化効率は100msと50msは70%でほぼ同じ結果となった。 今年度はスマ魚卵に加えてメダカ魚卵への導入評価を実施した。スマ魚卵と同様に沿面放電処理を行い、孵化効率および導入効率を評価した。その結果、蛍光分子が魚卵の囲卵腔に導入されていることを確認したが、胚への導入は確認できなかった。メダカ魚卵はスマ魚卵と比べて大きさや卵膜の厚みなど大きく異なる上、淡水と海水の違いもあるため、電気的な刺激が大きく異なることが導入効率の影響したと考えられる。 以上の結果より、2年目の目標である「スマ魚卵とメダカ魚卵へのDNA、RNA導入条件確立」について、実際にDNAやRNAの導入には至っていないが、分子導入に必要な条件が明らかになりつつある。特に電気的刺激が導入に寄与していることが実験的に明らかになるなど、導入機序解明に向けても進展が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により実験期間が十分確保できない状況の中、2年目の目標である「スマ魚卵とメダカ魚卵へのDNA、RNA導入条件確立」について、実際にDNAやRNAの導入には至っていないが、FITC-dextranを用いた導入実験の結果より、導入に必要な条件が明らかになりつつある。電気的刺激が導入に寄与していることが実験的に明らかになるなど、導入機序についても明らかになりつつあり、進捗状況はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
電気的刺激が魚卵への分子導入に寄与していることが明らかになったことから、魚卵のインピーダンスに着目した処理条件最適化の検討を進める。特にスマ魚卵とメダカ魚卵の違いについてインピーダンス違いが影響していることが考えられるため、処理溶液や印加電圧周波数の最適化を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による移動制限により、スマ魚卵を用いた実験期間が縮小したため、次年度に予算を繰り越した。使用計画については、研究を加速するためにスマ魚卵およびメダカ魚卵を用いた実験を並行して進める計画であり、繰り越した予算は導入処理に必要な機材の購入費にあてる。
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Research Products
(1 results)