2019 Fiscal Year Research-status Report
Social cost-benefit analysis of smart farming systems
Project/Area Number |
19KT0037
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鷲津 明由 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60222874)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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Keywords | スマート農業 / 情報通信技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの最終的な目的は,スマート農業が環境・経済・社会・地域にもたらす効果を主として産業連関の手法を用いて分析することにある。そのための第一歩として,スマート農業技術の実態把握に加えて,その技術が現段階でどの程度普及しているのか,今後の見通しとしてどの程度スマート化が進展するのか,どの分野の農業で,またはどのような特徴を持つ農業主体においてスマート化の傾向が強いかなどについて,データを用いた分析が必要である。しかし今のところ,農業のスマート化に関連して全国レベルで調査を展開し,計量分析を行った先行事例はみられなかった。 そのような中で,日本農業法人協会による「農業法人白書・統計表」では,会員の農業法人および法人化志向農業者を対象に行った統計調査の結果がまとめられている。それらのうち2011年の調査において「情報通信技術(ICT)の導入状況」,2014年の調査において「農業機械・ICTの取り組み」に関する状況が調査されている。そこで,本年度は,2011年と2014年の「農業法人白書・統計表」のこれらの調査結果から読み取れる黎明期のスマート農業の実態を整理した。その結果,ICTの活用がシステムやハードに対する農家の専門知識を必ずしも必要としなくなり,農家が必要な農業機械の導入を模索するプロセスで必然的にICTの活用が進んでいるという状況や,機械購入時にメンテ対応やメーカーが重視されるという事実などから今後の地域循環共生圏の進化の可能性を伺うことができた。ただし,2011年と14年の「農業法人白書・統計表」のデータが,現在進んでいる機械設備類とクラウド管理システムが一体化した技術の融合体という「スマート農業」をとらえきれているとは言い切れないので,今後「スマート農業」の本質について調査をアップデートしたり,拡充したりする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は必要な調査研究の足掛かりとなるパイロットスタディを行い,早稲田大学先端社会科学研究所のワーキングペーパー (WP) としてまとめることができた。このWPについては,日本農業法人協会のウェイブページにおいても紹介されている。それに加え,今秋に日本農業法人協会のバックアップをいただきながらスマート農業の実態と今後の受け入れ可能性に関するアンケート調査を実施する道筋を固めることができた。 また,農機メーカーとの連携関係も一定程度構築し,モデル事業に関する詳しい実態調査の道筋をつけかけたが,新型コロナウィルスの影響で,実態調査が見通せない状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,秋に日本農業法人協会が毎年実施する統計調査時に,スマート農業の普及実態と,スマート農業に対する担い手農家への姿勢を問うアンケート調査を実施する予定である。Precision Agricultureなどの海外ジャーナルには,スマート農業の普及実態とその受入見通しについて,アンケート調査結果に基づき統計分析を実施した成果が報告されている(Koksal1, O. and Tekinerdogan; 2019)ので,それらの文献を参照しながら,現在調査票の作成を進めており,8割程度の内容を固めている。 今後,農機メーカーや,担い手農家,農業経済学の専門家等へのヒアリングを行い,アンケート調査内容のブラッシュアップを行って調査案の確定を行っていく予定である。 また,スマート農業に取り組んでいるいくつかの担い手農家へのヒアリングや実態調査も行いたいと考えている。 ただし,新型コロナウィルスの影響があり調査やヒアリングが見通せない状況である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で春休みに予定していた調査を中止しなければならなくなったため。
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