2020 Fiscal Year Research-status Report
Socioeconomic factors on the scenario for the supply of domestic fast-wood products
Project/Area Number |
19KT0039
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
鳥山 淳平 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00582743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 康裕 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353908)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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Keywords | 国産早生樹 / センダン / 社会経済的因子 / 聞き取り調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は早生広葉樹センダンを対象とし、国内林業における早生樹の導入を促進または抑制する社会経済的因子、および国産早生樹の木材供給量の将来予測値に影響の強い社会経済的因子を明らかにするものである。そのため、センダンの成長モデルの開発と聞き取り調査を進めている。 2年目である本年度は、1年目に引き続きセンダン成長モデルの検証に関するデータを収集した。研究代表者は熊本県熊本市の1)立田山および2)金峰山のセンダン林の成長データを収集した。立田山では低標高域(90m)に植栽された3年生のセンダンを対象とし、肥大成長の季節的な変化を観測した。金峰山では丘陵地(標高460m)の4年生センダンの胸高直径および樹高データを得た。また研究代表者は、3次メッシュの気候シナリオと社会/土地利用シナリオに関する情報収集を行った。本研究のセンダン成長モデルに利用可能なシナリオのプロダクトを特定し、利用申請の準備を進めた。 研究分担者は、熊本県内におけるセンダン植林事例2地域(熊本市、鹿本地域)に関してセンダン植林の取組経緯・現状について聴き取り調査を実施した。その結果、以下の3点が明らかとなった。1)両地域とも、地域の林業関係団体・篤林家等による個人的な熱意、鹿本地域ではそれに加え、隣接県でのセンダン植林の取組事例情報や県職員の熱心な普及活動により、試験的な植林・保育が取り組まれていた。2)センダンに対して、再造林とりわけ下刈り作業の省力化、伐期の短さ、川下産業からのセンダン需要の高まりが評価されていた。また、皆伐・再造林を促進すめるために、植林樹種の選択肢を増やしたいという期待もみられた。3)一方、具体的な保育・販売方針はこれから検討することなっており、本格的な普及のためには、現在の試験段階をはやく終える必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者、研究分担者がそれぞれの担当する現地調査を遂行し、データを収集することができた。一方、新型コロナ感染拡大のため県外移動が制限され、九州管内で予定していた林分・聞き取り調査の一部が実施できなかった。それに加え、令和2年7月の熊本県南部豪雨に伴い、熊本県内(芦北地方)で予定していた林分・聞き取り調査を中止した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度完了しなかった現地調査を早期に行う。その後、研究代表者は都道府県レベルもしくは九州地域レベルでセンダン成長モデルを展開し、早生樹材の将来供給量の試算を行う。研究分担者は聞き取り調査のとりまとめを行い、研究代表者に将来予測シナリオの改善点を提案する。シミュレーション結果を都道府県の担当者らに情報提供し、フィードバックを得る。対面での打合せが難しい場合は、オンラインツールを活用する。成果をとりまとめ、学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
林分・聞き取り調査の中止により、旅費の一部を使用しなかった。またモデル検証のためのセンダンのサンプルの収集にやや遅れがあり、関連する実験消耗品および非常勤職員の賃金を使用しなかった。そのため、これらの旅費と消耗品、雇用に係る経費の次年度使用が生じた。 次年度は昨年度の未使用分も含め、早期に林分・聞き取り調査を行い、旅費を使用する。また成果の公表先としてオープンジャーナルも含め検討を行い、投稿料を使用する。
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