2020 Fiscal Year Research-status Report
Nitrogen deposition from atmosphere to agro-ecosystems by soil frost trapping
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19KT0041
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
下田 星児 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 上級研究員 (80425587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 高志 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究主査 (90462316)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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Keywords | 積雪 / 土壌凍結 / 除雪 / 雪踏み / 小麦 / 牧草 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、前年度冬に行った積雪に関する試験の影響が、春以降の越冬小麦・牧草圃場においてどの様に作用するか検証を行い、冬には再度、土壌凍結を 検証するための圧雪・除雪試験を行い、積雪試料・土壌試料を取得した。また、過去の積雪・融雪データを基に、積雪期間や土壌凍結が小麦生育に与える影響を 明らかにした。 春の越冬小麦の生育は、春の高温傾向により順調に推移したが、圧雪処理を行った圃場で小麦の生育が劣る傾向にあった。少雪時に圧雪を行い過度に地温を低下させることは、小麦の生育を遅らせることが明らかになった。一方、牧草では、チモーシー種において、除雪等により地温を著しく低下させることは 生育の妨げにならず、むしろ生産量の増加をもたらす可能性があることが明らかになった。土壌環境の影響が大きく作用し、温度もしくは窒素動態の変化が、要因のひとつと考えられるため、次年度の繰り返し試験において明らかにすべき項目であることを確認した。 冬に開始した試験では、2020年12月は例年に比べて積雪量が極めて少なく、近隣の気象庁帯広測候所においては、統計を取り始めてから初めて、12月中に積雪を記録しない年となった。このため、積雪試料の取得回数が前年より、少なくなった。12月が低温となり、地温の低下も早かったが、1月下旬からは定期的な積雪があり、地温の低下は止まった。また、3月は積雪も有りながら気温が高く、前年と異なる越冬条件のデータを得ることができた。 過去の圧雪データから、道内のべ17地点において、越冬小麦圃場において圧雪 処理を行った場合、地温の低下により野良イモ(前年収穫時に取り残しのイモが春に萌芽する)発生がほとんど無くなる一方、小麦の収量には変化が見られず、野良イモ防除と小麦収量の確保の両立を実現可能であることを整理し、論文が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積雪量が想定より少なく、積雪サンプル数や除雪等の積雪処理による地温変化 量は想定した変動幅が得られなかった。しかし、過去データの解析においては、小麦の圧雪による土壌凍結、融雪促進に関する成果を、順調に公表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
牧草で、低温下でも生育が向上した理由について明らかにするために、生育 データの充実を図る必要がある。生理的なパラメータの取得のための新たな機器 導入により、低温影響をプラスに変える要因を明らかにする。
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Causes of Carryover |
地温データの増強を図るために、温度計・ロガーを増設したため。また、コロナウイルスの蔓延に伴い学会の開催がオンライン化され、旅費をほとんど使用せず、越冬後の作業を行う人数が制限されたため人件費を使用しなかったため。次年度は、今年度に発見した新たな現象を、植物生理学的に明らかにするために、センサーの追加に使用する予定である。
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