2020 Fiscal Year Research-status Report
経済新興国インドにおけるギグ・エコノミーと新しい信頼関係の可能性
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19KT0044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池亀 彩 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (40590336)
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Project Period (FY) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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Keywords | ギグエコノミー / プラットフォーム資本主義 / デジタル労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2020年度は新型コロナ拡大が続いていたため、予定していた海外調査を行うことが出来なかったが、2020年3月にはマレーシアでの感染状態が落ち着いてきたため、海外調査を行うことが出来た。感染リスクを下げるためにインタビューの回数、時間などを少なく抑えたが、これまでに約三十人の配車アプリ、グラブを使って仕事をしている運転手にインタビューを行うことが出来た。この時期にインタビューが出来たことは、コロナ禍におけるギグ・ワーカーの働き方やギグ・ワークに関する考えを知る上で重要であった。
またマレーシアでは、サンウェイ大学との国際共同研究をはじめることに成功し、マレーシアで進められているスマートシティ政策と連動した研究プロジェクトとして今後すすめられることとなった。マレーシアの調査では英語でインタビューを行ったが、インド系・中華系の運転手との会話は問題がないが、マレー系の運転手の場合、マレー語が出来ないことは不利であることがわかった。これは今後サンウェイ大学との協力関係を築く中で、マレー語のできる研究協力者をみつけることで解決した。
2020年度はギグ・エコノミー、特に配車アプリに関する学術論文、新聞記事などのデータベースの作成も行なった。 またインドにおける配車プラットフォーム・ウーバーに関しては単著『インド:残酷のレジリエンス(仮題)』(集英社)としてまとめ2021年9月に刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界各地での新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、東南アジアおよびインドで行うはずであった現地調査を行うことが難しく、研究課題の進捗状況に大きな影響を与えている。しかしマレーシアでの調査をコロナ禍において行うことが出来たことは今後の研究に大きな進展であり、コロナ禍とギグエコノミーとの関係を人類学的に考察する上でも意義のあることであった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年4月よりインドにおいてコロナ感染が爆発的に拡大したことを受けて、今後の現地調査はさらに難しい状況である。 比較的調査が可能であるマレーシアなどで調査を進めるとともに、今後マレーシア、インドの大学などとの連携体制を整え、これまで出来てこなかった現地語(特にマレー語)を使った調査ができるよう、協力体制を構築していく予定である。 また引き続きデータベースの構築を進めるほか、これまでの調査結果や他地域で行われている配車アプリの運転手に関する人類学的調査をまとめ、学術論文としてまとめることが今後の計画である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大により予定していたインドでの海外調査ができなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度後半に海外調査が出来る状況に改善していれば、今年度分の調査を行う予定である。
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Research Products
(3 results)