2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノグラフェンの端の精密科学:エッジ状態の解明と機能
Project/Area Number |
20001006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 賢一 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60262143)
高井 和之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80334514)
若林 克法 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (50325156)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 電子・電気材料 / 磁性 / ナノ材料 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
(1) グラフェン端の極低温トンネル顕微鏡を用いた解析により、3回対称超格子の他、6回対称超格子が存在することを明らかにした。この6回対称超格子は、強結合近似での計算の結果、アームチェア端における入射波と散乱波の干渉効果により発生するアームチェア端特有のものであることを明らかにした。 (2) 酸素プラズマと微細加工により、ナノグラフェンリボン、ナノグラフェンドット、ナノグラフェン正方格子を作成し、グラフェン形状と端によって生じる電子輸送への効果を15Tまでの磁場印加によって調べた。この結果、サイクロトロン運動が形状により大きく依存することが明らかとなった。 (3) ナノグラフェン端をスルフォン化した活性炭素繊維の磁性とその水物理吸着効果を磁化率、ESRにより調べ、スルフォン化による電荷移動効果によりエッジ状態スピン濃度が減少し、また、スルフォン基の存在による親水化によって、吸着水の機械的圧力効果が増大することが明らかとなった。 (4) 活性炭素繊維のナノグラフェン端のスピンの動的挙動をESRを用いて調べ、隣り合うナノグラフェンシートのエッジ状態スピンが15K以下の低温下では、互いに熱的に孤立し、ガラス的な凍結状態を起こすことを明らかにした。 (5) 電気化学環境下でのグラフェン端での電子・イオンの授受機構の解明に向けて、トンネル電流を用いるSTMだけでなくAFMを適用するための液中FM/AFMの予備実験を進め、その結果に基づき仕様を定めた電気化学走査プローブ顕微鏡を主要設備として本年度末に導入した。 (6) ナノグラフェンにおける電子伝導機構において、端の形状とその乱れが与える影響について、理論的な側面から解析を行った。ジグザグ型エッジを有するナノリボンでは、長距離型不純物に対して電子伝導の影響を受けにくく、完全伝導チャネルを有することを示した。さらに、グラフェン結晶軸と伝導度の相関を数値的に明らかにした。
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Research Products
(45 results)