2009 Fiscal Year Annual Research Report
カドヘリン接着分子群と細胞骨格の連携による細胞行動制御
Project/Area Number |
20002009
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹市 雅俊 The Institute of Physical and Chemical Research, 高次構造形成研究グループ, グループデイレクター (00025454)
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Keywords | カドヘリン / カテニン / 微小管 / アクチン / 細胞接着 / ネザ / エプリン |
Research Abstract |
1) 微小管マイナス端結合タンパク質Nezhaについてその機能の研究を進めている。上皮細胞の細胞質には、Nezhaが点刻状に散らばっており、その役割を明らかにするためRNAiによる遺伝子ノックダウン(KD)を行い、微小管その他の構造に及ぼす効果を調べた。意外なことに、Nezha KDにより、細胞全体の微小管が安定化し、同時に、ゴルジ装置が断片化された。現在、これらの現象の分子的背景を探っているが、ゴルジ装置の断片(ミニスタック)が、Nezha結合微小管に添って集合するという図式が想定され、このモデルの検証を急いでいる。また、海馬神経細胞では、Nezhaが軸索に添って分布しており、これをKDすると軸索が異常に分岐した。この観察により、Nezha依存の微小管重合が軸索の伸長制御に関わっていることが示唆された。また、Nezhaの役割を生体内で明らかにするためノックアウトマウスの作製を試みてきたが、これに成功し、その表現型の解析の準備が整いつつある。 2) 前年度までに、カドヘリンとアクチンの間を橋渡ししていると想定されるα-カテニン結合タンパク質、エプリンとフィラミンの二つを同定した。エプリンは上皮型の接着構造にのみ、フィラミンは上皮型及び繊維芽細胞型の接着構造の両方に分布する。前者がどうして上皮型接着構造だけに分布するかを明らかにするため、種々の検討を行い、上皮細胞間の接着部位に分布するアクトミオシン依存の張力が、エプリンの分布を左右することが明らかになってきた。エプリンは細胞接着面に働く張力を感じ、可逆的にα-カテニンと結合し、細胞の物理的状況に応じて接着構造を変化させるものと考えられ、来年度はこのモデルの検証を行う。
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