2008 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起イメージング法によるリンパ節転移癌と免疫システムの相互作用の解析
Project/Area Number |
20011003
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡田 峰陽 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫細胞動態研究ユニット, ユニットリーダー (50452272)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / イメージング |
Research Abstract |
リンパ節転移癌の挙動をリアルタイムで可視化するために、緑色蛍光タンパク質を発現するB16-F10メラノーマ細胞を作製し、これを皮下移植して腫瘍を形成させ、所属リンパ節における癌細胞の浸潤動態を二光子レーザー顕微鏡によって観察した。二光子顕微鏡によるリンパ節転移癌細胞の、生きた組織内観察は、世界でもいまだ報告のない試みである。これまで報告されているように、このメラノーマ細胞はリンパ節辺縁洞に黒色腫瘍を形成するが、この黒色腫瘍が観察されない場合でも、メラノーマ細胞はリンパ節内に数多く浸潤していることが、このイメージングによって明らかとなった。リンパ節皮質における浸潤細胞の多くは、原発腫瘍やリンパ節辺縁洞腫瘍における個々の細胞よりも顕著に小さく、また特筆すべき活発な細胞運動を示した。リンパ球と同等の運動性を示すこれらの浸潤細胞は、白血球が行うアメーバ様運動を行っているように観察され、原発腫瘍においては少数であるこのアメーバ様運動を行う細胞が、転移に重要な役割を果たしているという説を支持する結果と考えられる。一方、リンパ節髄質領域においては、メラノーマ細胞は血管やリンパ洞の周辺に密集し、細胞サイズは小さいままであるものの、運動性は皮質においてよりも顕著に減少していた。この結果をうけて、リンパ節内におけるメラノーマ細胞の血管・リンパ洞内遊走の可能性や、様々な免疫細胞との相互作用の可能性について解析を行っている。またリンパ節転移巣においてメラノーマ細胞に劇的な運動性を付与する、遺伝子発現プロファイルを特定するための検討を行っている。
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