2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷に応答した修復遺伝子の修飾と発現制御による発がん抑制機構の解明
Project/Area Number |
20012006
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田内 広 Ibaraki University, 理学部, 教授 (70216597)
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Keywords | 発がん抑制 / DNA損傷修復 / NBS1 / タンパク質就職 |
Research Abstract |
発がんに至る過程では、DNA損傷修復ミスによる遺伝子突然変異よりも遺伝子発現制御の異常やエピジェネティックな変化の寄与が大きいと考えられる。本研究では、正確な修復とされる相同組換え修復、S期チェックポイント、そしてDNA損傷誘発アポトーシスの3つを制御するNBS1タンパクの変異あるいは新規の翻訳後修飾が、DNA損傷応答シグナルタンパク、エフェクタータンパクの発現にどのような影響を与え、その結果として修復精度やアポトーシスがどのような制御を受けるのかを解析する。申請者らは、NBS1タンパクがこれまで報告されている部位とは異なる新規の翻訳後修飾を受けることを示唆するデータを得て、この部位に変異があるNBS1タンパクを細胞に発現させて表現型を解析した。その結果、この部位がDNA損傷で起きるアポトーシスの誘導に深く関与していることが明かとなった。現在、その翻訳後修飾で付加される分子が何であるのかを明らかにするために、標識NBS1タンパクを発現する細胞系を樹立中である。また、Baxの活性化を通じたアポトーシス誘導におけるNBS1リン酸化の役割を解析するため、アポトーシス誘発時にNBS1をリン酸化するタンパクキナーゼを特定する実験を行った。様々なキナーゼ阻害剤で細胞を処理し、DNA損傷後のNBS1リン酸化とアポトーシス誘導を解析した結果、アポトーシス誘導においてNBS1をリン酸化するキナーゼがATRであることを明らかにした。本研究の成果は遺伝子発現制御による発がん抑制機構の解明に有用な知見として生かすことができると考えている。
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