2008 Fiscal Year Annual Research Report
がんの発生と進展におけるTGF-βシグナルの標的遺伝子TMEPAIの作用
Project/Area Number |
20012007
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 光保 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20194855)
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Keywords | がん / TGF-B / TMEPAI / Smad / TCF4 / 腫瘍形成 |
Research Abstract |
腫瘍形成におけるTMEPAIの作用に関して、TMEPAIをノックダウンしたヒト乳がん細胞株の免疫不全マウスへの移植実験を行って検討した。また、TMEPAI^<-/->マウスから樹立したMEF細胞をRasG12Vでトランスフォームし、足場非依存性増殖能に対する作用と尾静注後の肺への転移生着に対する作用について検討した。これらの結果から、TMEPAIが腫瘍形成に関与する活性をもつことが示唆されている。現在、TMEPAI^<-/->マウスを用いた化学発がん実験も加え、腫瘍形成におけるTMEPAIの作用についてさらに検討を加えている。次に、がんで発現が亢進しているTMEPAI遺伝子の発現制御機構に関する検討を行い、TMEPAI遺伝子のTGF-β反応配列を同定した。この標的配列にはTGF-βによって活性化されたSmadが転写因子TCF4とともに結合し、協調してTMEPAI遺伝子の発現を促進することが明らかになった。また、一部の肺がん細胞株ではTGF-βシグナル非依存的にTMEPAIの発現が亢進していることが示された。次に、TMEPAIがTGF-βシグナルを抑制する機序を分子レベルで検討し、TMEPAIがSmad2とSmad3に特異的に結合し、これらのリン酸化や核以降を抑制することを明らかにした。また、抗TMEPAIモノクローナル抗体の作製を目的として、GST-TMEPAI(細胞内ドメイン)を作製したところ、タンパク質として不安定であったため、抗体作製に適した安定な欠損変異体の作製を行っている。
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