2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20012011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 弘資 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10313230)
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Keywords | 発癌 / MAPキナーゼ / ストレス / アポトーシス / 炎症 |
Research Abstract |
我々は、ストレス応答MAPキナーゼ経路(JNKならびにp38経路)の制御因子である新規MAP3K分子ASK2を見出し、ノックアウトマウスを用いた腫瘍形成実験により、ASK2ががん抑制因子として機能することを示す結果を得ている。実際、ヒトにおいても、子宮頸がん、卵巣がん、口腔がん、食道がん、胃がん、大腸がんの各がん細胞株について、mRNAレベルでの発現を定量的PCR法によって検討した結果、口腔がん、食道がん、胃がん、大腸がんの細胞株において,ASK2 mRNAの発現が明らかに低下している細胞株が多く検出された。この傾向は食道がん細胞株においてとくに顕著であったため、ヒトASK2を特異的に認識するモノクローナル抗体を作製し、約100例の食道癌原発巣におけるASK2のタンパク質発現レベルを免疫組織化学染色にて検討した。その結果、約半数の組織において、周囲正常組織と比較してASK2の発現が明らかに低下していることが明らかとなった.また、がん組織におけるASK2の発現低下機構を探るため、ASK2発現の低下しているいくつかの食道がん細胞株に脱メチル化剤を投与したところ、ASK2発現の回復が観察された。よって、ASK2の発現抑制の少なくとも一部にDNAメチル化が関与している可能性が考えられた。現在、ASK2発現低下の機構をさらに解析を進めるとともに、食道がんの発癌過程におけるASK2の役割を検討するため、マウスの食道発がんモデルを用いた解析を進めている。
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