2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンレベルにおける遺伝子発現制御機構解析に基づく癌化機構の解明
Project/Area Number |
20012012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀越 正美 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (70242089)
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Keywords | 遺伝子 / 酵素 / 生体分子 / 蛋白質 / 発現制御 |
Research Abstract |
発がん過程におけるクロマチンレベルでの遺伝子発現制御機構を解析する研究は、エピジェネティクス研究の進展により近年増加傾向にあるが、その多くがヒストン化学修飾を中心としたものである。しかし、本研究で応募者が扱う因子は主にヒストンシャペロンである。近年、ヒストンシャペロンは、応募者の専門分野において国際的な注目を集めてきているが、癌化過程との関連で解析しているグループの数は国内外でも数が限られている。第一に、ヒストンシャペロンCIAによる転写活性化促進の分子機構の解明に取り組んだ。これまでにCIAが転写活性化を抑制する因子(ヒストン脱アセチル化酵素やコリプレッサーなど)の活性を抑制し、DNA結合性因子Mybとの相互作用を介して転写活性化を促進することをまず明らかにした。これらの結果を基に、作製したCIAの点変異体を用いて生化学的・遺伝学的解析を行い、さらには、ヒストンアセチル化酵素やコファクターとの相互作用解析などを行った。第二に、ヒストンシャペロンTAF-Iによる転写活性化抑制の分子機構の解明に取り組んだ。これまでにTAF-IがDNA結合性因子KLF5との相互作用を介して転写活性化を抑制することを明らかにしたので、これらの結果を基に、KLF5の活性を阻害するヒストン脱アセチル化酵素の同定及び作製したTAF-Iの点変異体を用いて生化学的・遺伝学的解析を行った。第二に、TAF-1とヒストン(H3-H4)_2四量体とのX線結晶構造解析を行い、良好な解析パターン結果を得たので、現在その三次構造解析を行っている。更に、TAF-1とANP32Bといった2種類の異なるヒストンシャペロンが癌遺伝子産物であること、転写調節因子KLF5との相互作用で単離したことを踏まえた上で、KLFとの機能的相互作用及び転写活性化能を検討し、転写活性化に際して、2種類のヒストンシャペロンが1つの転写調節因子に協調して働くことを初めて示した(投稿中)。
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Research Products
(9 results)