2008 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎ウイルスHypermutationと発ガン
Project/Area Number |
20012018
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村松 正道 Kanazawa University, 医学系, 教授 (20359813)
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Keywords | ウイルス / 発ガン / 肝炎 / 変異 / ゲノム |
Research Abstract |
慢性B型肝炎時にはウイルスゲノムにhypermutationが起こる事が観察されている。このhypermutationあるいはhypermutationを起こす酵素群cytidine deaminaseが、B型肝炎誘発性肝癌の原因や増悪因子になる可能性を追求するのが本研究の目標である。本年度はhypermutationの分子生物学的基礎データを回収しその目標の達成の基礎を築く事に力点を置いた。まず肝細胞株II(HepG2あるいはHuh7)にB型肝炎クイルス(HBV)レプリコンプラスミドを導入し、慢性B型肝炎の状態を細胞株レベルで評価できる系を構築した。 この系を用いてウイルスゲノムが肝細胞株に存在する時、これまで知られているDNAIRNA : deaminaseメンバーの発現を定量した。面白い事にAPOBEC3ファミリーの発現が確認され、特にAPOBEC3Gの発現がウイルスゲノム侵入時に発現誘導される事がわかった。発現増強が見られたAPOBEC/AIDファミリーの強制発現を行ったところ、慢性B肝炎時に報告されているhypermutationが再現され、またHIVウイルスの遺伝子VIFを共発現させる事により、APOBEC3ファミリーの活性が遮断される系も構築でき、慢性B型肝炎の患者で見られるhypermutationを細胞株レベルで解析できる基礎的実験系が構築できた。今後はさらにAPOBEC3Gと発ガンの分子生物学的メカニズムを解析していく。
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