2008 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素産生遺伝子NOX1による発がんの制御機構の解明
Project/Area Number |
20012019
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鎌田 徹 Shinshu University, 医学部, 教授 (40056304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 喜文 信州大学, 医学部, 准教授 (50201893)
古田 秀一 信州大学, 医学部, 助教 (80126705)
加藤 真良 信州大学, 医学部, 助教 (70402104)
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Keywords | Nox1 / Ras / 癌 / 活性酸素 / レドックスシグナリング / VEGF / GATA-6 / cell cycle |
Research Abstract |
本研究の目的は、多段階発癌における活性酸素(ROS)産生遺伝子Noxファミリーの機能的役割を解明し、癌診断・予防・治療の基礎を確立することにある。既に、我々は、Ras発癌遺伝子により、ERK経路を介してNox1が誘導され、Nox1の産生するROSが情報伝達分子として、多様な癌形質の発現を媒介し、Ras発癌に寄与することを解明した。また、Nox1の転写因子GATA-6も同定した。ヒト癌との関連では、Nox1が大腸癌に、Nox4が膵癌に高発現し、cell survival活性に寄与することを明らかにしてきた。この諸結果から、Noxファミリーは、癌化過程に、重要な役割を果たしているものと考えられる。本研究では、1)Nox1を介したTLR5依存、cell survivalの誘導機構、2)Rasによる腫瘍血管造成におけるNox1の役割、3)GATA-6による転写機構、4)Nox5によるメラノーマの増殖制御機構の解明において、大きな進展があった。項目1 : 大腸癌細胞で、Nox1がTLR5細胞質ドメインと相互作用し、Nox1がTLR5-NFkBシグナル伝達を媒介することが判った。項目2 : Ras-ERKによってSp1がリン酸化される際に、Nox1はこのERK活性を恒常的に維持して、VEGF発現に寄与することが示された(positive feed back regulation)(Oncogene, 2008)。また、Nox1は、angiogenesis及び大腸癌細胞のVEGF産生を媒介することを見出した。項目3 : Ras-ERKシグナルによってリン酸化された転写因子GATA-6がNox1遺伝子発現を高めると同時に(Oncogene, 2008)、GATA-6のリン酸化がDNAへの結合能力を顕著に増強することを見出し、リン酸化修節の化学量論的考察に成功した。項目4 : Nox5によるメラノーマ細胞の細胞周期(G_2/M遷移)調節の分子機構を明らかにした(Cancer Res. 2009)。
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Research Products
(8 results)