2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体の恒常性に関わるキナーゼ間のクロストーク機構の解明
Project/Area Number |
20012055
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
後藤 英仁 Aichi Cancer Center Research Institute, 発がん制御研究部, 室長 (20393126)
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Keywords | チェックポイント / サイクリン依存性キナーゼ / Chk1 / がん / ATR |
Research Abstract |
今年度、我々が見出したChk1のセリン286/301のリン酸化反応が、分裂期だけでなく、紫外線照射におけるDNA障害時およびヒドロキシウレアによるDNA複製障害時にも引き起こされることを見出した。しかし、分裂期の場合とは異なり、上記のチェックポイント反応の際には、ATRによるセリン317およびセリン345のリン酸化反応も同時に認められた。次に、チェックポイント反応時のChk1のセリン286/301のリン酸化反応を遂行しているプロテインキナーゼを検討したところ、Cdk2がこの反応を遂行している可能性が高いことが判明した。さらに、チェックポイント反応時のCdk2依存性のリン酸化反応とATR依存性のリン酸化反応の関係について検討を加えたところ、これらのリン酸化反応は同一Chk1分子上で引き起こされているにもかかわらず、互いのリン酸化反応は比較的非依存的に引き起こされていることが判明した。以上の結果は、リン酸化反応によるChk1の機能制御は当初考えられていたものより複雑で、少なくとも活性化に必要なATRからのみならず、Cdkによっても制御されていることが判明した。(セリン286/301のみのリン酸化反応が引き起こされている)分裂期における検討から、CdkによるChk1のリン酸化反応は、ATRとは異なり、Chk1を核外に移行させることによってChk1の機能を負に制御している可能性が高いと考えられる。しかし、チェックポイント時のように、ATRからのリン酸化反応も同時に引き起こされると、このCdkによる局在変化はほとんど認められなくなる。そのため、チェックポイント時におけるセリン286/301のリン酸化反応がChk1にどのような機能変化を与えているかについては、まだ不明な点が多い。がんにおけるリン酸化反応の異常の解析も含め、今後の検討課題といえる。
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Research Products
(5 results)