2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の運動・接着と浸潤・転移におけるアクチン骨格制御系の機能
Project/Area Number |
20013004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Keywords | アクチン骨格 / 細胞運動 / 癌浸潤 / LIMキナーゼ / コフィリン / Slingshot |
Research Abstract |
癌の悪性化に伴い、癌細胞は運動能、接着能を変化させ、浸潤・転移能を獲得する。アクチン細胞骨格の再構築は細胞運動、接着の制御において中心的な役割を担っており、癌細胞の浸潤・転移においても重要な役割を果たしていることが知られている。アクチン脱重合因子であるコフィリンはアクチン再構築を制御する主要因子であり、LIMキナーゼによりリン酸化(不活性化)され、Slingshotにより脱リン酸化(活性化)される。本研究では、LIMキナーゼとSlingshotが癌細胞の運動、接着能の制御、浸潤・転移能の獲得において果たす役割を解明することを目的として研究を行った。癌細胞の浸潤過程において、癌細胞はinvadopodia(浸潤仮足)とよばれるFアクチンに富む膜突起構造を形成し、周辺の細胞外マトリックスを溶解しながら仮足を伸長させる。癌細胞の浸潤能とinvadopodia形成能には高い相関性があることが知られているが、invadopodia形成におけるコフィリン制御系の機能は不明であった。本研究では、ヒト乳癌由来のMDA-MB-231細胞のinvadopodiaの形成と浸潤活性を測定し、コフィリン/ADF、Slingshot-1/2、LIMキナーゼ1の発現を抑制するとインベードポディア形成と浸潤能が抑制されることを見出した。また、HT1080 fibrosarcoma細胞は3次元培養下では、プロテアーゼ阻害剤によって間葉織細胞遊走からアメーバ様細胞遊走への運動様式の変換(mesenchymal-amoeboid transition : MAT)をすることが知られているが、LIMキナーゼによるコフィリンのリン酸化はMATに重要な役割を担っていることを明らかにした。MATの分子機構を解明することは生体内での癌細胞の浸潤機構を理解し、癌浸潤を阻害する上で非常に重要であると考えられる。
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Research Products
(18 results)