2008 Fiscal Year Annual Research Report
フィードバック・リン酸化によるMAPK経路の活性調節機構と増殖・発癌制御
Project/Area Number |
20013009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武川 睦寛 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (30322332)
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Keywords | MAPキナーゼ / シグナル伝達 |
Research Abstract |
哺乳類細胞には、細胞増殖に作用するERK経路とストレス応答に関与するp38およびJNK経路という少なくとも3種類のMAPキナーゼ・カスケードが存在する。相反する機能を持つこれら複数のMAPキナーゼ経路が、相互に影響し合い、各経路のシグナル強度と持続時間を調節することで、細胞運命の決定や発癌制御に重要な役割を果たしている。我々はこれまでに、MAPキナーゼ経路の正確なシグナル伝達を規定する新たな分子メカニズムとして、各MAPKK分子内に、対応する上流のMAPKKKとの選択的結合を規定する新規ドッキング・サイト(DVDサイト)が存在する事を見出した。更に、このDVDサイトを介した分子間結合が、MAPKKKかちMAPKKへの効率的なシグナル伝達にも必須である事を明らかにしてきた。 本研究において我々は、MAPキナーゼ経路を構成する一部の分子内に未知のリン酸化サイトが存在することを見出し、同残基のリン酸化を担う複数のキナーゼ分子を同定した。同残基に対するリン酸化特異抗体を樹立して解析を行った結果、特定の細胞外刺激によってリン酸化が誘導されることを見出した。更に、この様なリン酸化が、MAPキナーゼ経路の活性持続時間の制御に重要な役割を果たしていることを示唆する知見を得た。また、リン酸化依存的にMAPキナーゼ経路の構成分子と結合する新たな蛋白質分子のスクリーニングを行い、これまでに少なくとも2種類の分子を単離する事に成功した。
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