2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞由来因子EGFL7のがん血管新生における機能解析
Project/Area Number |
20013013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
HEISSIG Beate The University of Tokyo, 医科学研究所, 特任助教授 (30372931)
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Keywords | 血管新生 / マトリックスメタロプロテイナーゼ / 血管内皮増殖因子 / 血小板 / 骨髄由来細胞 / ケモカイン / アデノウィルスベクター / サイトカインプロセシング |
Research Abstract |
本研究では、新規血管新生因子Egfl7のがん血管新生、がん増殖における機能・役割を理解し、生体内血管新生機構の新たな一面を解明することによって、これを標的とする抗がん新規分子療法の開発まで目標の範疇としている。今年度、研究代表者らは、膜型及び可溶型のEgfl7を生体中で発現するアデノウィルスベクターE13及びE15、またその発現を確認するための抗Egfl7モノクロナール抗体を作製し、Egfl7の生体内生物学的活性、特に血管新生因子としての機能解析を進めた。代表者らは、Egfl7機能の下流に属すると考えられるマトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)の活性化によって、生体内の血管内皮増殖因子(VEGF)をはじめとする血管薪生因子、あるいはケモカインCXCL12の供給媒体として機能する血小板、または骨髄由来細胞群の産生、増殖、そして動員が制御されていることを報告した。また、Egfl7はVEGFシグナルの上流から、直接的にその発現調節に関与していることが解ってきており、このことは、Egfl7の血管新生・管腔構造構築の機序として、VEGF等の血管新生因子発現の制御因子としての機能と、骨髄由来細胞の末梢組織中への動員を介して、これらが供給する各種血管新生制御因子群により血管新生を制御する、二つの機序が存在することを示唆するものである。Egfl7発現ウィルスベクターを使用したこれまでの予備実験では、マウスの末梢血中に血小板数の増加が認められた他、生体組織中の異常な血管新生、あるいは血中ないしは組織中のMMPの油性化の誘導が疑われており、現在Egfl7の生体内発現の経時的変化との関連性について精査中である。本研究成果は、血管新生機構の新たな一面を提示するものであり、さらに将来的にこれを標的とした分子標的療法の有用性を支持するものである。
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Research Products
(9 results)