2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜型マトリックスメタロプロテアーゼによる細胞運動極性形成制御機構
Project/Area Number |
20013017
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
滝野 隆久 Kanazawa University, がん研究所, 准教授 (40322119)
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Keywords | MMP / ECM / 細胞運動 / 浸潤 / 極性 / インテグリン / 情報伝達 / 分解 |
Research Abstract |
がん細胞浸潤は細胞外マトリックス(ECM)分解と方向性を持った細胞運動誘導が協調的に制御され、かつシグナルの連続性が維持されて初めて成立する。がん細胞はECM由来の細胞運動誘導シグナルの連続性を確保するため、ECM分解酵素を用いて細胞外環境を調節している。本研究では膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP)による細胞運動・浸潤時の極性形成と連続性維持への関与とその作用機序をインテグリン/FAK情報伝達経路を中心に解明し、がんの浸潤・転移機構の解明とその阻止に向けた標的分子の同定と薬剤開発を目標とする。 MT1-MMPと細胞運動および浸潤極性 本年度は、イヌ腎上皮MDCK細胞やヒト乳癌MCF-7細胞のコラーゲンゲル培養において、MT1-MMPを発現させることによりFAKとERKのリン酸化が亢進することを明らかにした。このリン酸化の亢進は、MMP阻害剤処理や腫瘍細胞のMT1-MMPをsiRNAを用いてknockdownすることにより抑制された。Src阻害剤処理やsiRNAを用いたc-Srcのknockdownは、MT1-MMP活性に影響を与えずにFAKやERKのリン酸化を抑制した。MT1-MMP発現によるFAKやERKのリン酸化亢進とともに、フィブロネクチンの産生が誘導される結果が得られた。MDCK細胞は3次元コラーゲンゲル内で嚢胞周囲にIV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン等からなる基底膜様構造を形成することから、MT1-MMP発現による増殖速度の違いと関連したECM成分をimmunoblottingおよび免疫染色法にて解析中である。MT1-MMPを発現している癌細胞の3次元コラーゲンゲル内増殖にはMT1-MMP活性に加えて、c-Srcの基質であるパキシリンが重要であることが判明した。MT1-MMPによる細胞増殖シグナル活性化の足場としてパキシリンが働いていることが期待される。
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Research Products
(4 results)