2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20013018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 秋一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60282232)
大崎 雄樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00378027)
鈴木 倫毅 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80456649)
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Keywords | イノシトール燐脂質 / カベオラ / コーテッドピット / カルシウム / アクチン / ガングリオシド / ラフト |
Research Abstract |
フォスファチジルイノシトール4, 5二燐酸(PIP2)はイオンチャネル, トランスポーターの活性, 細胞骨格, 小胞輸送などの制御に重要な役割を果たす膜脂質である. 上記の多様な機能は, 独立した膜領域にあるPIP2が異なる挙動を示すことで相互に干渉することなく発揮されると推測されてきた. この仮説を検証するため, 我々はこれまでの研究で開発した膜脂質の物理的固定・標識法を用いて, PIP2のナノ局在を定量的に決定した. PIP2は形態的に分化していない平坦な膜領域ではごく弱いクラスターを形成し, アクチンを脱重合することでクラスターは解消した. カベオラ開口部, コーテッドピット辺縁部にはPIP2の高度な集中が認められた. Angiotensin II刺激後, 平坦な膜領域では10秒でPIP2標識密度は最低レベルに低下し, 2分までに徐々に回復した. カベオラのPIP2は10秒では変化せず, 40秒で最も低下し, 2分で静止期レベルに回復した. コーテッドピットは10秒でやや減少したが, その程度は平坦な膜領域に比較してごく軽度であった. 一方, イオノマイシン処理では, 1分後にカベオラのPIP2が先行して減少し, 5分で平坦な膜領域でも顕著な減少が見られた. PIP2の集合は, カベオラではカベオリンに, コーテッドピットではepsin, dynaminなどのエンドサイトーシス関連蛋白質に結合することによって生じると考えられる. 今回の結果は, 3つの異なる挙動を示すPIP2のプールが形質膜に存在することを明確に示した. 本研究で開発した方法は従来の方法に比較して空間解像度にすぐれ, PIP2濃度を正確に判定することができるため, 多くの実験系への応用が期待される.
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